みんなに認めて欲しくて人一倍に努力して、注目されたいが為にイタズラして大人を困らせ、それでも周りを魅了する不思議な力を持っていたりもする君の、火影になるというその大きな夢を、わたしはずっとずっと応援してるよ。


「サクラちゃーん!良かったら俺とデートしよう!」
「全部オゴリならいいわよ」
「……」(財布を覗く)


貴方は恋にもいつも真っ直ぐで、同じチームの桃色の女の子のことがアカデミーの時から好き。わたしはその子とあまり話したことはないけど、可愛くてしっかりしていてとても良い子だって聞いた。もちろん、あの子のことが大好きなわたしの幼なじみ、ナルトから。
わたしはいつだって彼のすることを一番に応援してきた。だけどこれだけは、応援出来そうにはない。

だって、


「サクラちゃんにウザイって言われたってばよ…」
「また何かしちゃったんじゃないの?」
「…わかんね」
「そんなんじゃいつまで経っても変わらないよ」
「ん〜〜」


わたしはナルトが好きだから。けれども関係が崩れるのが怖いからと言って、好きな人の恋を応援するほどお人好しでも無ければ臆病でもない。


「でも俺ってばサクラちゃんに嫌われてばっかだから」
「それは、彼女が嫌がる事をナルトがやってるからだよ」
「俺はただ、こうすれとサクラちゃんが喜ぶと思ってやってるだけだ。なのに…」
「………ナルト、」


サクラちゃんはサスケが好きと、風の噂で聞いたことがある。だからなのか、サスケにいちいち突っ掛かるナルトを彼女は毛嫌いしている。彼女に悪気は無くともこうして肩を落とす姿をわたしは何度も見てきた。
そして不本意だが、今まで数えきれないほど恋愛相談に乗っては彼を励ましてきたのだ。この時のわたしの心情と言ったら惨めで、哀れにしか思えない。

目の前で項垂れるナルトの頭を撫でる。それまで、うーとか、あーとか言っていたのだが急に大人しくなった。顔を上げたナルトの青色の瞳と目が合う。普段は見せない真剣な眼差しに一瞬ドキリとした。まただ。ナルトはたまに見たこともない表情をする。そんな顔をするのは決まってサクラちゃんのことを考えてる時。悔しいけど、わたしはそんなナルトが好き。一瞬に居る時間は誰よりも長いのに彼女には何一つ叶わない。


「…わたしは、サクラちゃんみたいにナルトを悲しませたりしないよ」
「え…?」
「っ、なんてね!ナルトったらなんて顔してんの?冗談だよ!」
「なっ!ビックリさせんなってばよ!」
「あははは」


本心を冗談で誤魔化すしか出来なかった。だって、あんな困った顔されたら、そう言うしかないじゃんか。所詮わたしは幼馴染みであり良き理解者であり、それ以上にも以下にもなれない。

わたしは気付いてしまった。気付いて、しまったんだ。



わたしはなるべく自然に笑ってみせた。
涙が零れないように、声が震えてしまわないように。


わたしは、ナルトがわたしを見てくれないのが悲しいんじゃない。

わたしではない誰かの為に、ナルトが傷付いてゆく姿を見るのが悲しいだけなんだ。







一番星にはなれない君に


それでも、わたしの一番はいつだって君だよ



12'0404
∴参加企画 曰はく、様 提出


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