※狂



あなたが好きで好きで好きで。わたしだけのものにしたくて、誰とも話なんてしないで欲しくて、その素敵な笑顔をわたしだけに見せて欲しい。だからわたしは考えたの、あなたを手に入れる方法を。


「な、に、…するんだ…てば、よ…」


横たわったナルトくんのお腹に馬乗りになってその首を絞める。攻撃をしようとして、相手がわたしだと分かると手の力は一気に抜けていったようだった。


『ふふふ。ねぇ、苦しい?ナルトくん』
「名前、ちゃ…ん…?」
『あのねナルトくん。わたし、あなたが大好きで大好きで、一人占めする方法を考えたの』
「…はっ、」
『ナルトくんをわたしの手で殺してわたしだけのものにする、って。刺したりはしないよ。だって大切な身体に傷がついちゃうもの』


苦しそうに歪める顔や、手首を掴む弱々しい手も何もかもがわたしには愛しい。これでやっとナルトくんが手に入る。

やっと、やっと。


「それ、で…、名前ちゃんは満足すんのか…?」
『ええ、勿論よ』
「……そっか」
『………っ!?』


ふっ、とナルトくんの抵抗力が無くなった。そして苦しみに歪んでいた表情も、わたしの好きなあの太陽のような笑顔に変わっていて。わたしは思わず首から手を放しナルトくんと距離を置いた。急激に酸素を取り込んだせいで咳き込むナルトくんは上体を起こした。


「ゴホッ…ゲホッ、ゲホッ、あんなんじゃ死ねねーよ」
『なんで…』
「…なんでって、自分の顔よく見てみろ。名前ちゃん、」
『…』
「すっげー泣きそうな顔してるってばよ」
『……ッ…』
「本当は俺を殺すつもりなんて無かったんだろ?」
『…ぁ……あ…』
「でも俺は名前ちゃんになら殺されたって構わねーよ」



ナルトくんは立ち上がってわたしに近付く。わたしは、彼が一歩踏み出す度に一歩ずつ後ずさる。背中が壁にぶつかって逃げ場は無くなり、震える足がその場に崩れ落ちた。わたしと目線を合わせるようにしゃがむナルトくん。怖くて彼の顔を見ることが出来ない。頬に手が添えられて顔を上げさせられる。涙で滲む視界に写ったナルトくんは笑顔だった。ああ、もう彼の全部はわたしのものだったことに何故もっと早く気付かなかったんだろう。


『ど、して、』
「それが名前ちゃんの愛情表現なら、俺は受け止めるしかないから」
『っ…、ごめ…、ナルトくん、ごめんなさい、死なないでっ、ナルトくん、ごめんね』
「いいよ謝らなくて」
『ごめ…っ、』
「泣かないで名前ちゃん」





下手くそな愛情表現
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