「カカシ。キスして」
「ん。今日は珍しく甘えただね。どうしたの」
「……別に。何もないよ」


カカシは私の前髪をかき上げると額、瞼、頬、唇とキスを降らせた。少し触れるだけのキスじゃ物足りなくて離れかけたカカシの口に今度は私から噛み付いた。激しく舌を絡ませてこのままお互い息も出来ずに窒息死もいいかも。なんて考える。今この場でカカシと死ねるなら私は本望だ。でもあなたは違うでしょう?


「ね、ほんとどうしたの?なんかお前らしくないよ」
「どうしたの、なんて聞かないでよ。本当は分かってるくせに」
「…」
「それなのに知らないフリをし続けてるのは、カカシが、私と同じ気持ちじゃないからでしょう」


カカシがこうゆう楽な関係を好んでいるってことぐらい知ってる。それを承知で私もカカシに近付いた。だけど、どうだろう。どんなに頑張ったって一番になれないと分かっていたのに、気付いたらカカシの特別になりたいと思う私がいた。
それは叶わないことだと理解しているのに、一度気付いてしまった気持ちを嘘でも隠すことは出来なくて。カカシが私の知らない所で違う女と同じ関係を持っていると思うと酷く胸が締め付けられた。


「私は、カカシが好きだよ。ずっとずっと前から、好きだった」
「……」
「カカシが私を何とも想ってなくても一緒にいられるだけで良かった」
「…うん」
「でも。もう無理なの。本当の気持ちに嘘をついてまでこの関係を続けていける程、私は強くないから」


たまに見せる笑顔とか、さりげない優しさとか、あなたの全部が好きで好きで、今の関係に満足出来なくてなっていた。あなたが私に触れる度、私はあなたが欲しくて堪らなくなる。そう望んでしまった私はもう今までみたいにはいられない。だから、


「今日で終わりにしよう」
「お前は、それでいいの」
「…………うん」


きっともうカカシに会うことはないのでしょう。だから最後に笑顔を焼き付けておきたかった。いつか彼が今日を思い出すことがあった時に少しでも悲しくならないように。



多くは望みません、
1つだけでいいのです。



私が欲しかったのは、気休めの愛の言葉や慰めの言葉なんかじゃない。
何よりも、あなたの心が、欲しかった。


∴無条件降伏さま企画提出
のはずが何故かエラーで提出できず。素敵企画に参加させて頂ありがとうございました!テーマ"空虚な愛"(111109)
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