珍しく夜中に目が覚めた。隣でこれまた珍しく静かに眠るナルトを見て自然と笑みが零れる。起こさないようにそっと布団から脱け出してベランダに出た。秋の夜は意外に冷えていて、予想外の寒さにぶるりと震えた身体。

「うう〜寒い…」

今日は特別冷えるのだろうか。吐く息が白い。すぐに冷たくなった身体を両手で抱き締めながら一度部屋に戻って、ブランケットを手に取り再び表に出た。今度は厚手のブランケットがあるから寒くない。むしろ、これのお陰で身体はポカポカと暖かい。

すっかり眠気は飛んでしまったようで、布団に潜る気はあまり起きなかったしもう少しだけこの夜の景色を見ていたかった。


どれくらい居ただろうか。少し喉が渇いたしココアでも飲もうと振り返ろうとしたとき。ふわりと何かに包まれた。突然のことにビックリしたが、知っている香りにそれが誰なのかすぐき理解。顔の横をくすぐる髪の毛が月の光できらきらしていた。

「風邪引くぞ」
「平気よ。このブランケット凄く暖かいから」
「身体冷たいけど」
「ナルトの方が暖かいんだね」
「…ビックリした。隣にいねーから」

目が覚めていつもいるはずの私がいなかったから黙っていなくなったんじゃないかって怖くなったんだって。馬鹿ね、私がナルトの傍から黙って消えるわけないのに。ナルトは何も言わなかった。彼の震える腕に、本当に怖かったんだなぁって思った。と同時に愛されてるんだって実感する。

「ごめんね。気を付けるよ」
「…ん」
「ナルト寒いでしょ。一緒に入ろ」

大きなブランケットは私とナルトの身体を余裕で覆った。でもさっきよりももっと暖かい。それはきっと、ブランケットの中でナルトが私を抱き締めているから。私がこうされると喜ぶと知っているんだ。私もナルトを抱き締め返すと、額にキスを落とす。それが堪らなく嬉しくて私は彼の頬にキスをする。そして、どちらともなく目を閉じて唇を合わせるの。こういうのを幸せって言うんだね。


あなたを愛した心臓の後始末はよろしく

title / 誰そ彼
(111010)
ナルトくんhappy birthday*
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