「サクラちゃん!怪我してんだからあんま無理するなってばよ!」

「これくらい大丈夫よ」



火影様に与えられた任務を無事遂行し木の葉に帰る途中私たちは忍に襲われた。そこまで手練れた忍者じゃなかったからすぐ決着はついたが、戦闘の際サクラが敵の攻撃をくらい負傷してしまったのだ。

見てるこっちが目を背けたくなるほど肩の傷は痛々しい。それでも弱音を吐かないのはサクラが強いから。


ナルトは昔からサクラが好きだ。荷物を持ってあげたりサクラに対するさりげない気遣いでどれだけサクラを想っているのかが伝わってくる。私はその事実にどうしようもなく悲しくなってしまう。

木の葉に着いてからもナルトの口から漏れる言葉は全てサクラを心配するものばかり。
前を歩く二人の背中が遠いのは、きっと勘違いなんかじゃない。



「家まで送ってくってばよサクラちゃん」

「いいわよ、べつに」

「遠慮すんなってばよ!」



あんなにナルトに想われるサクラが羨ましい。
本当は私も怪我をしたけど、平気なフリをしてるだけ。本当は凄く凄く痛いの。もし私も怪我してるって知ったらサクラみたく私も家まで送ってくれるのかな。





ねぇナルト、サクラはサスケが好きなんだよ。

ナルトのことが好きなのは私だよ。こんなにもあなたを想ってるんだよ、気付いてよ。




ねぇナルト、








こっち向いて


「名前?」



彼が振り向いた先には、もう誰もいなかった。

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