壁に掛けてあるカレンダーの20のマスに赤ペンで×印をつけて、暗くした部屋のベッドに寝転んだ。

彼が月の始めに砂の国へと任務に出掛けてから、今日で二十日目になる。つまり、私は彼に二十日間も会えていないということだ。何が、簡単な任務だから一週間で帰るってばよ、だ。ナルトのうそつき。一週間って言うからそのつもりでいたのに帰って来ないから、何かあったのかなとか怪我したのかなとか余計な事ばっか考えちゃうじゃん。大きな怪我なんてしたらただじゃおかないんだから。バーカバーカ。


「早く会いたいよ」


ひとりで眠る夜は淋しいよ。









「名前」


私を呼ぶ声に意識が浮上する。いつの間にか寝ちゃってたのかと体を起こすと、そこにはナルトがいた。目をパチパチとまばたく私を見てふっと笑ったナルトは、リュックを床に下ろしながらただいまと言った。


「ただいま…、じゃないよ」
「ん?じゃあ戻った?ってばよ」
「ち、がくて」
「?」
「帰ってくるの…遅いよ」


無事に帰って来てくれた安堵からなのか、会えた嬉しさからなのか、会えなかった淋しさからなのか、よく分からない感情がぐるぐる渦巻いて涙が流れた。それにあからさまに動揺するナルトは優しく私を抱き寄せる。久しぶりの彼の温もりと匂いに余計に涙腺が弛む。


「泣くなよー」
「だって、ナルト一週間で帰るって言った」
「あー、うん。言った」
「だから、待ってたのに。…ナルトに何かあったんじゃないかって凄く心配した」
「…そうだったのか。俺が悪かったってばよ」


ぎゅう、力いっぱい抱きしめれば、それ以上の力で抱きしめ返された。


「ナルト。もっと、もっとぎゅってして」


苦しいくらいきつく抱きしめられて隙間がないくらいくっついた。それだけで会えない時間を埋められたような気がする。


「名前」
「…なに」


すっと離れたナルトに淋しさを感じつつも顔を上げれば、すぐ近くにあったナルトの顔。唇に感じる熱でキスされたことに気付く。それからまたすぐに抱きしめられた。ナルトは優しい手つきで私の髪を梳いた。

どうやら私はナルトなしでは生きていけないらしい。






「…好きだってばよ」
「私はだいすき」
「じゃあ俺は愛してる」
「ナルトには愛してるは似合わないよ」
「そうかもしんねーな」
「ナルト」
「ん?」
「次は早く帰ってきてね。ナルトがいないと淋しいの」
「おう。約束だってばよ」


今日はよく眠れそうだ。


◎Love!様企画提出
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