ネジが抱える苦しみを、少しでも軽くしてあげられたらいいのにっていつも思ってた。


あなたは決して辛いとか苦しいとか悲しいとか口には出さないけれど、いつも心では苦しんでいることはわかってた。それでも一般家庭に産まれた私には、彼の苦痛や憎悪を半分でさえ背負ってあげることは出来なかった。彼にとって、私みたいな人からの気遣いは更に彼を苦しめるだけだと思ってしまったから。

彼とは付き合いこそ長いが私はネジのことをあまり知らなかった。詮索するなと言われているようで何も聞くことは出来なかった。聞いたところできっと私に出来ることなんてない。



私たちが下忍になった頃。ネジは私に全てを話してくれた。日向一族には本家である宗家と、その流れを組む分家があり、ネジはその分家の人間だということ。ヒナタちゃんを含む宗家を恨んでいること。ヒナタちゃんの父ヒアシ様の影武者としてネジのお父様ヒザシ様が命を落としたこと。
全てを話終わったあとに、「黙っていてすまなかった」と一言だけ呟いた。私は首を横に振って、そんなことない、と言うことしか出来なかった。

ほら。私に出来ることなんて何ひとつないじゃない。



あれから少しだけ大人になっても何も変わっていない。ネジは更に宗家への恨みが募るばかり。それじゃダメなんだよ。ネジが苦しいだけだよ。

ねぇどうすればあなたは救われますか?どうすれば辛いと、苦しいと弱音を吐いてくれますか?

私じゃあなたの力にはなれませんか?


ネジが抱える苦しみを、少しでも軽くしてあげられたらいいのにっていつも思ってた。

思って、いるのに。





その術を私は知らない
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