孤独に押し潰されそうだった私を救ってくれたのは、同じ孤独という痛みを知るナルトくんだった。ナルトくんは私を照らしてくれる太陽みたいな人で、彼のお陰で私にはたくさんの仲間が出来たの。ナルトくんの仲間は素敵な人たちばかりでみんなが私に優しくしてくれた。私はそれが堪らなく嬉しかったんだよ。

ナルトくんは心がとても綺麗で、芯の強い真っ直ぐな忍だ。いつも仲間を想い、仲間のためならどんなに傷付こうともその身を挺してみんなを守って。そんなナルトくんだからこそ、里のみんなから慕われているっていうのが凄くわかる。



「どんどん脈が小さくなってってる…!」

「早く止血を!もっと医療忍者を呼べ!」

「ナルトッ!!しっかりしなさいよ!こんなとこで死ぬんじゃないわよ!」



だから今もみんながあなたのために泣きそうになりながらも必死になってるんだよ。お願い、ナルトくん、目を開けて。また私に、私たちに笑顔を見せてよ……


サクラちゃんといのちゃんが治療を続けても傷は一向に塞がらない。彼のオレンジの服も血で真っ赤に染まった。里から距離のあるこの場所で医療班を待っていれば、きっとナルトくんは助からない。ヒナタちゃんが泣きそうな顔でナルトくんを見てる。みんながナルトくんのために一生懸命。

私はナルトくんに助けられた。一生を使い果たしても恩返し出来ないくらいのものをいっぱいもらった。そんな私がナルトくんにしてあげられることが、たった一つだけ、あった。


サクラちゃんの肩に触れてしゃがみこむ。ナルトくんの胸に両手を合わせてチャクラを流し込めば、少しずつその顔は血の気を取り戻し始めた。よかった、本当によかった。



「名前、これは、」



いのちゃんが何かに気付いたのか泣きそうな顔をした。いいの、いのちゃん、泣かないで。私みんなが優しくしてくれて嬉しかったの。ありがとう、みんな。私にたくさんの優しさをくれてありがとう。こんな私が返せるものなんて何一つないけれど、せめて



「せめて、ナルトくんは私が守ってみせるから」



体温が彼に移るかのように、私の身体は少しずつ、けれど確実に温かさを失ってゆく。私の命と引き換えにナルトくんが生きていくことが出来るなら、私は生きてきてよかったって、そう思えるから。



「名前…っ」

「泣かないで、みんな、泣かないで」



最後にもう一度だけナルトくんの笑ったかおが見たかった。声が聴きたかった。






ありがとうって伝えたかったの。


(110826)
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