部活が休みの休日。何故か朝っぱらから涼太に叩き起こされた私は現在ベッドに凭れ掛かって雑誌を見ている。それもメンズファッション雑誌を、だ。 「ね、どうっスか、俺の初仕事で撮影したやつなんだけど」 それだけじゃなく、これは涼太がモデルとして初掲載された雑誌で。表紙には「大型新人モデル」と大々的に特集されている。 私に見てほしくて真っ先に持ってきたんだとかなんとか。 横に座る涼太はさっきからソワソワしっぱなしだ。 とりあえず落ち着けよと思いながらページを捲って現れた涼太の姿に私の動きはピタリと止まった。 「これ、ほんとに涼太…?」 「俺以外に誰がいるっつーんスか〜」 「だって…なんか…」 雑誌の中の涼太は、涼太とは思えない程に格好よくて、いや、実物も格好いいけど、なんだろう…なんだか、 「涼太じゃないみたい……」 ドキドキする。こんな涼太見たことなくて、なんかよく分からないけど心臓がうるさい。普段涼太を見ても何も思わないのに、変だよ今日の私…! 「どう?格好いいでしょ、俺」 「か…格好いい、けど、じ、自分で言うなバカぁ!」 「あれ?名前、顔真っ赤だよ」 「ううううるさい!!」 多分いまの私は顔が真っ赤だ。 ものすごい恥ずかしくなって閉じた雑誌で顔を隠す。 「照れてるの?可愛い〜」 「いちいち抱き着かないでよ!」 涼太は私を抱き締めた。どうせからかってるだけだし慌てる必要なんてない。むしろ私が落ち着け。 「名前。こっち向いて」 「や、やだ」 いつの間にか雑誌はテーブルに投げ出されていた。目の前には涼太がいて。 「なんで真っ赤なの?」 「だ、だって私の知ってる涼太はヘタレで」 「え」 「ちょっと頼りなくて、」 「うん…」 「わんこみたいなのに」 「(名前から見た俺って…)」 「こんな格好いい涼太、見たことないから、ドキドキするの…っ」 恥ずかしくて死ねる。ていうか私本人を前に何言ってるんだ!バカ。私のバカ。私なんて豆腐の角に頭ぶつけて死ね! 「名前!可愛すぎ!!」 「ひゃあ!だから、抱き着くなぁ〜〜」 「そんな顔他の男に見せたらダメだから!」 「み、見せれるか!」 しばらく顔は見られなくないと思い涼太の胸に顔を押し付けた。涼太の出てる雑誌は極力見ないようにしよう。そう固く決意した私だった。 (ドキドキドキドキ…) (まだ真っ赤だよ) イケメンは心臓に悪い!! 12'0916 |