35

あれから一週間。今日は合否発表の日。試験後家で自己採点してみた時には余裕で合格ラインを越えていたので、あとは周りのレベルが高くなければ落ちることはないだろう。面接も好印象だったと思うし。だがやはり合格の二文字を見ないと安心出来ないのが人間の性。今日の11時にネットで結果が確認出来る。なんてハイテクな世の中なの。…じゃなくて、現在の時刻は10時58分。あと二分で私の運命が決まろうとしている。
あと一分。ドキドキ。あと三十秒。心臓が口から出そうとはまさにこのこと。十五秒……ご、よん、さん、に、いち……
カチッとマウスをクリックする。読み込みに時間がかかっているのかなかなか画面が表示されない。じれったさに埋もれながら一分後にようやく画面が綺麗に映り、期待と不安が入り交じる中画面をスクロール。そこにあった《合格》という文字を見て家を飛び出した。コートも着ないで二件隣の家に走る。短い距離なのにかなり息が上がってしまった。


「涼太!」
「うおっ?!って名前じゃないっスか。どうしたの、そんな慌てて」
「合格!私合格したよ!」


ノックも無しに部屋に飛び込んできた私に、読んでいた雑誌から目を離し驚いた顔をする涼太。だが次の瞬間にはパッと笑顔になって立ち上がると、未だ扉の側に立つ私に近寄りがしりと肩を掴んだ。


「合格、したんスか?」
「そうだよ!合格したの、私、海常受かったよ…!」
「やったーーーー!!」
「きゃあ!ちょっと、涼太!」


肩を掴んでいた手が両脇に差し込まれ、わたしの身体は軽々と持ち上げらた。急な浮遊感に驚き彼の肩を掴むが、すぐに目線は下げられ、かと言って下ろされることはなく涼太の腕に座らされる。左手は私の太ももに回され、私が落ちないよう右手で脇を支えてくれている。…物凄く嬉しそうだ。私より喜んでいるのではないだろうか。そのまま抱き締められていつもより顔が近くてドキドキした。


「すげぇ嬉しい!おめでとう!」
「ありがとう」
「また名前と一緒に通えるんスね…。俺ほんと嬉しい」
「うん、私もだよ」


お互いしばらく興奮が冷めず二人で騒ぎまくっていた。自分のことのように涼太は喜んでくれて、私も嬉しくなる。
春から私は海常生になれるんだ。涼太と同じ高校に通えると考えたら胸が弾むし心は躍る。ここに進学を決めたこと、後悔はしてない。これが私にとっての正解だったと気付くのはそう遠くない未来なのだろう。


13'0422
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -