01

「涼太見える?」
「全っ然見えない」
「も〜〜!こんなんじゃ遅刻しちゃう!」


クラス発表の掲示板に群がる生徒たち。出遅れた私たちは後ろの方で覗き込んでみる。
が、背伸びをしても横にずれてもクラス表は全く見えない。


「名前、こうなったら強行突破するしかないっスよ」
「は?何する気…って、ちょ、涼太!」


私の手を掴むと涼太はグイグイ人混みを掻き分けていく。私はその手を放さないように強く握る。
まもなくして掲示板の前まで来ることのできた私たちはさっそく自分の名前を探す。
さすがマンモス校。生徒数も半端なく探すのも一苦労だ。


「あ、涼太の見っけ」
「どこ?」
「2組だって〜。私は…」
「あった!名前5組っスよ」


2組と5組って結構距離あるな〜。涼太もそう思ったのか「遠いね」ってシュンとしてしまった。
中1にしては背の高い彼の頭を背伸びして撫でてあげる。誰もが振り向くイケメンですごく男らしいのに私の前ではどこか頼りない幼馴染み。


「いつでも会えるんだからそんな顔しないの!ほら、邪魔になるからもう行こう?」
「名前は寂しくないの?」
「あんまり」
「がーーーん」


今度は私がその手を引っ張る。
後ろでいつまでも項垂れる頬を両手で包んで顔を上げさせると黄色い双方と目が合って、八の字に垂れ下がった眉に苦笑い。


「俺は超寂しいのに…」
「出来るだけ一緒に帰ろうね」
「朝も一緒っスよ」
「うん、わかってる。約束」


コツンとお互いの額を合わせどちらともなく微笑んだ。


「お昼もなるべく一緒に食べるっスよ」
「はいはい」
「あ〜でもやっぱ離れたくない」
「あ、こら!抱き着くな!」


12'0913
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