あそこに行けば名前がまだいるのではないかと思って訪れても、施錠されて入ることは出来なかった。会える訳がないことなど一番俺がよくわかっているのに。通夜も告別式も参加したというのに何故か受け入れることは出来ない。否、受け入れたくはない、が本音である。

病室に行けば笑顔の名前がいるんじゃないかと思った。死ぬはずがないと思っているのに名前はもういないと俺の中の何かが告げる。こんなにも心は名前に会いたいと叫んでいるというのに……


「アンタがいないだけで俺は弱くなる」


決して強くなどなれなかった。生に限界があると知りながら、死を受け入れるには子供すぎた。

苦しみから解放された彼女は海を見れたのだろうか。今まで諦めてしまったことをやっているのだろうか。
名前は十分に頑張った。この広い世界の狭いちっぽけな空間で必死に生きたんだ。向こうでは誰よりも贅沢に思うまま過ごしてくれるなら、俺は何も望まない。


空の青さが眩しくて目を閉じる。流れた涙がアスファルトに溶けていった。



僕の愛したきみがかみさまのところへ行けますように


110911
これにて完結です。最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

このタイトルのみhmr様よりお題拝借
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