「体調はどうだ」
「平気。ありがとう」
「具合が悪くなったらすぐに言え」
「うん」


もう起き上がるのも辛くなってしまったようで、ボタンで角度が自動に変わるベッドがある病室に移ってから二日。相変わらず顔色は良くないが、体調は悪くはないらしい。薬を飲まなくても平気なくらい調子がいいようだ。今日名前は朝から起きていた。起きれる時はなるべく起きて何かしらするように心掛けているんだとか。


「一いつもありがとう」
「礼などいらない。俺がしたくてしていることだ」
「うん、それでも。お見舞いありがとう」


名前は軽く口元を上げて笑う。泣いている姿は見たことががないくらいこいつはよく笑っている。何が楽しいのか嬉しいのか分からない時も常に絶やすことはない。どうしてそんなに笑っていられるんだ。


「名前はよく笑うな」
「笑うと幸せがいっぱい寄ってくるんだよー!」
「そうなのか」
「そうだよ!だから一も笑って、ほら!」
「笑えと言われてすぐ笑える訳がないだろう」


名前が生きていてくれることだけが俺の幸せだと言うのに、それ以外の幸せを望むなど浅ましい。今の俺には名前のように笑うことは出来そうにないみたいだ。



それでも君は

幸せだ、と言っているような顔をして笑うんだ。


110908
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