猛暑が続く八月。そうです。泣く子も黙る新選組の屯所にも、避けることの出来ない夏がやって来ました。


馬鹿は風邪引かない


太陽を遮る雲も無ければ、暑さを和らげる風もない。大雨でも降れば少しは涼しく過ごせるのに。…まあ、止んだ後がジメジメしてて鬱陶しいのだけど。夏は暑いだけで嫌いだ。思いっ切り水遊びをしたいが、生憎私にそんな暇は無かった。


「あだまガンガンずる」
「何でこんな真夏に風邪なんて引くかな…」
「名前〜布団〜」
「駄目。かけすぎ」


平助がこの真夏日に風邪を引いた。まじで有り得ない。どうやったらこんなクソ暑い日に風邪なんて引けるの??そんな平助の所為で八番組組長補佐という役職の私は、土方さんに熱があるのに無理しようとするアホ組長の監視及び看病をお願い(という名の命令)をされた。ご飯も食べて薬も飲んだんだから、さっさと寝てくれればいいのに、寝るどころかうんうんと苦しげに唸る平助。


「腹減った」
「何言ってんの?さっき食べたでしょ」
「お粥なんて腹に溜まらねーよぉ〜」
「お願い。もう寝て」
「冷てーな!」


病人は労れ!とか言いながらゴホゴホッと咳き込んで、まったく喉もやられたらどうすんのよ。呆れてため息しか出ない。


「蒸し暑い…」
「俺は寒い」
「だろうな」


襖を開けると平助が寒いと言うから開けずにいるんだけど、熱気が篭もるわむしむしするわで汗が止まらない。布で汗を拭くのはもう何度目か。


「じっとしてんのか性に合わないんだよな〜」
「私もだよ」
「こんな熱平気なのに」
「休まなきゃ駄目」
「名前は何しに来たんだ?」


おめーの看病だろうが!心の中で叫んだ。作ったご飯を食べさせてあげてこうして額の汗を拭ったりずっと看病してると言うのに。もう監視止めてもいいですか土方さん。


「平助って馬鹿だよね」
「は?何だよ急に」
「急じゃないよ?前から馬鹿だなって思ってた」
「俺は馬鹿じゃねぇ!」
「馬鹿だよ。平助は馬鹿」
「なんだよさっきから馬鹿馬鹿馬鹿って!」


だって馬鹿じゃない。猫が溺れていたからってなにも自分が川に飛び込まなくても。それはいいとしても濡れたまま巡察を続ければ風邪引くに決まってるじゃない。結果的に猫は助かったとして平助がこれじゃ意味がないのよ。そうゆうことを分かってないから馬鹿なの。


「でもよ、名前」
「?」
「馬鹿は風邪引かないって言うじゃん?」
「うん」
「だから風邪引いた俺は馬鹿じゃねーよ!」
「……やっぱ馬鹿だ」
「なっ?!」
「ねぇ平助、知ってる?」


夏風邪は馬鹿が引くんだよ


「………」
「はい残念でした」


連載で風邪ネタを書いて思い付いた話。ギャグにもならないただのネタ/(^o^)\
(110309)
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