※幼女ヒロイン


今日は半兵衛の命により名前の子守りをすることになった三成。執務は後回しでも良いとの許しを得たので名前の相手を優先することにした。


「みつなり!」
「なんだ」
「名前、まちへいきたい!」
「城下町、にか?」
「うん!」
「…」


名前はよく城下町へ行きたがる。あそこは多くの店が並びそれなりに賑わっている。何もすることがない城で毎日を過ごす名前にとって、あの賑わいや雰囲気は興奮するものであり楽しいことの一つだ。
以前、女中に連れられて城下町へ行った時は動き回って大変だったと聞いたことがあった。それからは必ず半兵衛や三成がいないと城下町に行くことが出来なくなった。

三成は思案した。城を空ける際半兵衛に、「名前を城下町へ連れて行っては絶対に駄目だ」と言われていたのだ。理由は三成には分からないが。
期待した眼差しで私を見つめる名前を出来る事なら城下町へ連れて行ってやりたい。だが、半兵衛様の命に背くなど、私には…ッ!だが、名前の頼みを断る事も私には出来ない!

やがて、一人葛藤を続ける三成の両手の指先がクイッと引っ張られた。


「いかないの?」
「…半兵衛様に、駄目だと言われている」
「いこうよっ!」
「だが」
「やだっ、いくのッ!」


名前の声がだんだんと涙声に変わり三成は内心焦っていた。泣かれたりなんてしたら自分にはどうする事も出来ないのだ。
その時、部屋の襖が開かれて、三成が嫌悪している家康が入ってきた。


「家康ッ貴様!誰が部屋に入っても良いと許可をした!」
「まあ三成、そう怒るな。どうした名前、そんなに大きな声を出して」


名前の声が外から聞こえたらしく、家康はニコニコしながら名前の頭に手を置いて優しく撫でた。


「いえやす、あのね。名前ね、まちへいきたいの」
「ならワシと行こう!」
「ほんと?!」
「家康、」
「良いではないか三成。半兵衛殿にはワシから事情を説明しておく」
「みつなりもいこう?」
「っ、……ああ」


どうしても折れてしまう三成なのであった。



豊臣の我が儘娘は今日も周りを振りまわす
(みてー!はんべえ!)
(どうしたんだい)
(みつなりといえやすが名前にかんざしかってくれたの!)
(…三成君、)
(ッ申し訳御座いません!)
(はんべ、これあげる)
(花?)
(はんべにあげる。だからみつなりといえやすおこっちゃやっ!)
((きゅん))

110208
もうこの際、幼女ヒロインは固定でいきましょう…!!
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