ジュダルにルフを与えてもらうことでしばらくは元気な日が続く。どういった原理でルフを消耗していくのかは未だ不明だけど、どうやら体力に比例しているみたいであまり疲れを溜めるなとジュダルには言われている。 それに伴い私の活動範囲はいくつかの制限が設けられていた。 城の中であれば好きな所に行けるが、城の外に出ることは禁止されている。外は危ない世界だとジュダルは言う。殺人、誘拐、強盗、恐喝。様々な危険がそこら中に蔓延っていて、それに抗うだけの力を持たない私を外に出すわけにはいかないのだと。その時のジュダルはとても怖い顔をしていたのを今でも覚えている。 わかってる。余計な力を使えば体力が底を尽き、もしそうなった時にジュダルが側にいなかったら、私は……。 「へぇ。海の綺麗な所だったんだ」 「ああ」 「きっと素敵な国に違いないね」 「……」 「いつか行ってみないな」 でも出来ることなら私も貴方みたいに色んな国を飛び回って世界を知って、ジュダルが見たものと同じものをこの目で見てみたいって、そう思うんだ。 だけどね、ジュダル。貴方がそれを望んでないことぐらい知ってるよ。だからここから出たりなんてしない。ずっとずっとここで貴方が無事に帰って来れるよう祈りながら待ってるから。 だから、だからね、 「……っ…、……ごめんな」 そんなツラそうな顔で私を見なくていいよ。ごめんね。貴方は何も悪くないから、お願い、謝らないで。 力強く私を抱き締めるこの温もりをいつまでも感じられるなら、それだけでいいから。 13'0215 |