司馬懿は只今不機嫌である。いや、不機嫌なのはいつものことではあるが、今日は特に。

「司馬懿、暇なんだけど」
「私の知ったことではない」
「…司馬懿、お腹すいた」
「ならば生えている草でも食っていろ。貴様にはそれが似合いだ」
「…司馬懿、眠い」
「ならば一生眠っていろ」
「死ねってか」

どのくらい不機嫌かというと、その怒りで空は闇に閉ざされ、空気は澱み、火は荒れ狂い、水は濁り、草木は枯れ果てるくらいに。

「ふう。司馬懿を怒らせたら世界が破滅するわ…」
「貴様の思考回路を一度探ってみたいものだな」
「そんな…わたしたちはまだ若すぎるわ…」
「何の話だ!?」
「だって司馬懿がわたしのこと知りたいって」
「そういった意味ではないわ!」

ぜいぜいと息を切らせて怒鳴った司馬懿は顔を真っ赤にさせて大層ご立腹である。

「司馬懿、いつもおこってばっかりだね」
「貴様のせいだがな」
「一度でいいから、爽やかに笑った司馬懿がみたいなあ」
「貴様…人の話をきいているのか?」
「みたいみたいみたぁぁぁい!爽やかに微笑む司馬懿がみたぁぁぁい!」

ええい喧しい!そう怒鳴って机をぶっ叩いた司馬懿は本当に沸点が低いなあなんて考えていると、そこまで言うのなら見せてやろうと思いがけない言葉が帰ってきたものだから驚いて暫くの間固まってしまった。

「ま、マジで!?」
「ああ。ただし、貴様の死に顔を見せてくれるならばな」
「…慎んで遠慮させていただきます」

不機嫌な司馬懿にはあまり関わらないようにしようと今更ながらに深く誓った瞬間であった。
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