あなた様は自分のことを全知全能だなんていうけど、だったらわたしの胸中もわかってくれるんじゃあないかなあと其処まで考えてみたときに、それはきっとないだろうなあと思うのです。あなた様が全知全能ならば教えてください、わたしの胸を満たすこの想いは一体なんだと云うのでしょうか。そう問うてもあなた様はきっとわからないんじゃないかなあと。そう告げれば鍾会殿は不機嫌そうに顔を歪めてしまわれた。

「この私にわからないことがあるというのか」
「人の想いなどわかる道理がありましょうか」

そして、わたしがあなた様にどんな想いを抱いているかなどは、きっと知る必要もないのでしょう。他の女性とあなた様が話しているだけで、どうにかなってしまいそうなこの醜いわたしのことなど。

「…何が言いたい」
「別に。ただ、わたしは醜いということです」

自嘲気味に微笑めば、鍾会殿はますますわからぬというように眉間に皺を刻んだ。わからずとも良いのですとその場を立ち去る。わかる筈がないのだ。綺麗なあなた様に醜いわたしのことなど理解できる筈がないのだから。

かわいい女の子になれないなら怪物にしてください
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