コンビニでいつも弁当とプリンとエロ本買う人がいる。メガネをかけてスーツを来てエリートみたいな感じのひとなのに、エロ本のタイトルは熟女であった。それを気まずさからか裏にして渡してくるものだから、わたしはそれを敢えて表にしてやったのである。
「ストローいりますかって言えば?」
「ははっあたためますか?」
「おしぼりつけますか?」
「ちょっそれリアルすぎ!」
複数の友達と爆笑する。あれ、コンビニのバイトでの愚痴を話していたのに何故こうなったのだろうかと、友達の発言に笑いすぎてヒィヒィ言いながらも原因を探ったら自分の発言からであった。
「名前よ」
「ふ、ひひ、…なんだい元就くん」
目に涙を溜めながら振り向けば、ぼやけた元就くんがいた。なんとなく空気が痛いので、もしや不機嫌なのかと慌てて目を擦れば、案の定眉間に皺を寄せ目をつり上げた元就くんが仁王立ちしていた。
「ど、どうしたの?」
「そのバイト、今すぐやめろ」
「…は?」
いきなり何を言い出すかと思ったら、意味がわからない。助言をもらおうかと友達のほうを見れば、元就くんがぐいと腕を引っ張ってきたものだから、わたしは抵抗も出来ずに引きずられる。助けを求めるように友達を見れば、にやにや笑いながら手を振られた。なんなんだ一体。
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「よいか、もう一度言うぞ。バイトをやめろ」
「無理」
即答すればきっと睨まれる。なんで睨まれなきゃいけないんだ。だってバイトしなきゃ暮らしていけないし、やめて新しいバイトを探すのも面倒だ。あそこのコンビニは家から近いしバイト仲間も店長もいい人だから尚更やめる気はない。
「大体、なんで元就くんにバイトのこと言われなきゃなんないわけ?」
「そんな凡愚の客が来るようなところで働かせる訳にはいかぬ」
「…心配してくれてる、とか?」