夢を見たのです。
夢の中でわたしは竜になっていて、大きな口で政宗様の首にぷっつんとかじりつくのです。政宗様は動かなくなってしまって、竜のわたしは悲しくなっておいおい泣くのですけれど、不思議なことに涙は出ないのです。

「ha、竜が竜に喰われるとはな」
「笑い事ではございませぬ」
「でも、死んだとは限らねえだろ」

でも、ぷっつんって音がしたんですよ。あたたかい指先でわたしの頬を伝う涙を拭いながら、少し困ったように片目で笑う政宗様にそう告げると、頭をぽんぽんと叩かれた。

「死なねえよ。俺はそう簡単に死にやしねえ。俺が名前を置いて死ぬわけねえだろ?」

だから泣くな。そうやってあまりにも優しい声音で言うものですから、わたしはもう何も言えなくなってしまうのです。

やさしい盲目室
あなたがわたしをこわがりにするから、わたしもっといやな子になってしまうの
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