ふんふふーん。縁側に座って鼻歌を歌いながら足をぶらぶらする。ここは広い庭を見渡せるから好きだ。


「どうしてー空はーあおいのかあーなあー?」


からりと晴れた空。頬を撫でる風が心地よい。歌うのは下手くそだけど、好き。


「こんにゃくがーむれるのよー」
「おい」
「足もー最近むれるのよー」
「…おい貴様」
「司馬ー仲達のーマッチョマッチョ」
「その喧しい口、私が引き裂いてやろう」
「きゃー口塞いでやるなんて…司馬懿さんのー破廉恥っちっちーあでっ」


ふざけて歌ったら司馬懿さんに叩かれました。いたいなあ、とぼやくと深いため息を吐かれた。歌にしてないからいいじゃないの。


「音痴のくせに歌うのはよせ」
「好きこそものの上手なれって言うじゃないですか」
「ならば人の迷惑のかからんところで歌え」
「あははー」


もう笑うしかない。というか口でこの人に敵うはずなどないじゃないか(口以外でも敵いはしないだろうけど)。ばかじゃないのかい。


「司馬懿さん。何故空は青いんでしょーか」


隣に座った司馬懿さんにそう訊ねると、私の知ったことかと一蹴されてしまった。うん、まあそうだよね。
音痴で喧しいとか言いながらも一緒にいてくれる司馬懿さんはやっぱり優しいねえ。


「ぼーくらはみんなー生きている 生きーているから歌うんだ」


再び歌い出すと、司馬懿さんは何も言わなくなった。私の歌に聞き惚れてるのか、言っても無駄だと呆れたのか。きっと前者だろう。前者ということにしてください。


「ぼーくらはみんなー生きている 生きているからかなしいんだ」


何も言わないのをいいことに彼の手を掴んで太陽に向けた。


「おい、何を、」
「手のひらを太陽に すかしてみーれーばー 真っ赤に流れる 僕の血潮」


自分の手も一緒に翳せば、司馬懿さんは小さく息を飲んだ。見えているだろう、太陽に透けて見える、真っ赤に流れる血潮が。そう、私たちはみんな、生きているんだ。

なぜ空が青いのかなんて、心臓が赤い理由と同じ
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