「…何故納豆にヨーグルトなのだ」

何をどう間違えたらこんな組み合わせになるのだろうか。目の前で起こっている奇跡のコラボレーション攻撃に、寝起きの頭ではもうキャパシティを越えそうである。
こんな状況を作り出した当の本人はといえば、語尾に音符がつくほど弾んだ声音でお早うなんて言ってくる。呑気なものである。名前に似合うだろうと買った水色のエプロンは今日の空のように爽やかであったが、その水色をさらに越えたような顔色を私はしているのだろう。
お早うと挨拶を返して少し引かれた席に座る。頂きますと二人そろって手を合わせ、当たり前のように味噌汁の隣に鎮座しているヨーグルトに溜め息を吐いてから納豆を手に取り醤油をぶっかけた。ぐるぐると掻き回していたら視線を感じたので何だと問えば、文遠って何しても素敵だよねなんて言ってきた。毎度のことながら唐突すぎてついていけない。大体納豆を混ぜているときに素敵なんて言われても複雑なものである。

「私さあ、なんかもう文遠大好き」
「私は愛しているぞ」
「くっさー!」

納豆だからなと返せばそういうことじゃないと沢庵をぽりぽり噛んだ名前が言う。そうかと生返事をして鮭の骨を皿の端に寄せていると、地味なくせに異様な存在感を放っているヨーグルトが視界の端に映った。何故こんな和食の中にヨーグルトという刺客が現れたのか不思議でならない。

「和食にヨーグルトがあるのをはじめて見た」
「新鮮でしょー?」

何が新鮮なものか。そう思いつつも不快には感じないのだからこれも惚れた弱みか。

「どんなに愛してるなんて言ったってずっといれば飽きがくるものじゃない」
「まあ、そうであろうな」
「でも、私といると飽きないでしょ?」

にやりとしたり顔で笑う名前にため息を吐きつつも、まあ確かに名前といて退屈することはなさそうだなんて妙に納得してしまう。だからといってこの朝食は如何なものか。私は口の中のもやもやしたものを残りの味噌汁で流し込んだ。

この世で一番怠惰な話

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魚の骨をちまちまとよける文遠さまってかわいくないですか。わたしだけですかそうですか。朝から文遠さまみたら鼻血で出血多量になりそうなのもわたしだけですかそうですか。髭にヨーグルトとかつけてたら可愛すぎやしないか。朝とは素晴らしい、しいこは苦手ですが。
110428
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