短編集/男主 | ナノ


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ふんふんふん♪


ご機嫌な様子で鼻歌を歌いながら彼は軽快な足取りで前を進む
彼の横を一瞬でもすれ違った者たちはぎょっとして二度見をする。

濡れた肩よりも少し長い漆黒の髪
黒曜石を埋め込んだような瞳
少しはだけた服から漂う色香

顔の輪郭はすっとしていて肌は通常の人よりは白く…。

明らかにイケナイ夜の街牛耳ってそうな美系が可愛らしくも鼻歌を歌いながら歩いている。

何事か、事件の前触れかと誰もが騒いだが当の本人は気付かない


「今日の?というか久しぶりの日本?少し変わったな…。あとなんか騒がしいや。今日はお祭りか…?」


この調子である。

そして、ようやく足を止め、顔を上げるとニヒルに笑いまた足を進めた






2A教室


「たいへんだぁぁぁあああ!」
「やかましい」
「なになに?どうしたのさ」
「?」


スパーン!と教室の窓が開けられて一斉に明星スバルを見つめる2Aの面々。
騒がしい彼に委員長である氷鷹北斗は冷たくあしらい
彼とよくいっしょに居る遊木真は何か面白いことでも?と楽しげに聞き
彼らのマネージャーであるあんずは不思議そうに首を傾げた


「ホッケーつめたい!まぁ、いいや…。あのな夜の帝王が攻めてした!」
「解散」
「集合!!」


呆れたように氷鷹が解散を告げれば慌てて集合をかける


「なんで話聞いてくれないんだよーー!」
「聞く価値がないからだ」
「うわぁーん!あんずー!ホッケーがー!」
「??」


泣きつく彼に大丈夫だよ?と無言で背中をポンポンとするあんずはまさしく女神であったと誰かは語る。
するとまたもやガラリと教室の扉が開き覗き込んできた人物は


「ほらー!夜の帝王!」


スバルが見た人物だった。
その言葉に彼はコテンと首を傾げる

何かの衝撃がクラスに走った瞬間で氷鷹が強烈な違和感を感じた瞬間である

あんずは転校してきたから知らないだろうしスバルと遊木もすぐ忘れるアホコンビなので期待はしていなかったが。この色気と顔立ちは自分たちが一年のとき三年の方に半年在籍して姿を消したあの先輩である。

その証拠にいつも飄々としている夏目がペンを落とした。



「わあー…。大変ダ」



何がだろうか。
アドニスや神崎も基本アホ組なのでわかってはいないようである。注目を集める彼はさらに首を傾げた



「…?悪いクラスを間違えたようだ。この中で3Bの教室知ってるや「僕が案内してくるネ!」あ、夏目助かる」



何かを言いかける彼を夏目が慌てて引きずって行く



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