短編集/男主 | ナノ


▼ 6

「ふぁーーーwwwwww草の呼吸ってやっぱ刀の色緑なのねwwwwwwwww」
「風の呼吸の派生だからな」
「wwwwwwwwwww」
「笑いすぎだ馬鹿者!!」
「ちがwwこれwあれっすよwww参ノ型wwwwww」
「お前は常に参ノ型を使えるほど強くはない。」
「師範が俺の腹筋を殺しに来るwwww」


 たしかにwww俺、いつも笑ってるから、常に参ノ型使ってるようなもんだわwwwww。すごいww俺強すぎでは???
腹を抱えてケラケラ笑い、日の光に反射する刀、もとい俺の、普通よりも大きい苦無数本に目を細める。値段はかかるが師範がわざわざお館様とやらに頼んで作ってもらった特注品のまきびしにも触れればほんのりと色が変わった。


「今後、この苦無や飛び道具がお前の生命線となる。常に武器の様子は観察しておけ」
「了解」
「それから、一年前にお前から奪った短刀を返しておこう。よく頑張った」
「っす」


箪笥から取り出された短刀は錆一つとして付かず、手入れを欠かさず行ってくれていたらしい。それを受け取ってしばらく眺めていれば、刀鍛冶が口を開く


「日輪刀ではないですが、よい刀ですね」
「え…」
「その打ち方、見覚えがあります。確か数年前に亡くなられたとある刀鍛冶のものでしょう、ひどく腕が良かった、生涯日輪刀を打つことはなかったと記憶しておりますが、こんなところでまみえるとは」


どのように縁が繋がるのかわからないものですねえ。と、顔の仮面に似合わずおっとりとした刀鍛冶がしみじみとつぶやいて、帰っていく。


「…知らなかった、俺の師匠が投げて手渡したものだったんすよね、これ」
「気恥ずかしかったんじゃないのか」
「どうでしょう。」


脳内に浮かぶのは楽しそうに奥方と戯れる師匠だ。たまにこちらを振り向いて、「こっちにこい」と言ってくれる人だ。俺はいつもその言葉に頷いて近寄っては頭をなでられていた。少し乱暴に、けれど愛おしそうに撫でられるのは嫌いじゃなかった。


「―――、師範、俺の中の一番の師は師匠っすけど、それと同じくらいには師範のことも尊敬してる」
「そうか」


つぶやいた言葉を拾って、師範が深く頷いた。









 さて、俺の初任務について語ることは少ない。しいて言うなら同じ最終選抜の時に一緒になった黒髪の少年とサラツヤヘアー村田と一緒で、何事もなく、誰も死ぬことなく任務を終えた。ちなみに黒髪の少年事義勇は村田と初対面だったせいか俺のそばから離れず(男にくっつかれてもうれしくないwwww)、村田が始終困惑気味だった。かわいそう。それなのにくっつく男の方は何気に技の精度が完璧に近いくらいには仕上がっていて、笑った。基本の呼吸というだけ美しい剣技だ。


『おまwwwそんなに強いなら俺を守ってくれよwwwww』
『…強くない』
『今の技何?』
『水面切り…』
『響きもかっこいいwwww』


俺の呼吸、m9(^Д^)プギャーとかあるんだけどwwww
そんなこと言いながら敵を斬らなきゃいけないんですけどww


『…。そんなこと、ない』
『あるよw、自信持ってくれwww。』
『……俺より、錆兎のほうが、強いし、かっこいい』


 この年でもうそっち系に足ツッコんでるのか思って思わず固まる
そっ、と伺うように少年を見るけれど表情が変わらない、それどいう言う感情の顔??


『錆兎は、強いんだ』
『お母さん自慢ですか??』
『いや、錆兎はお男だからどっちかというと父親だ』
『wwwwwwwwwwwwwwww』


こいつ本物だwwww本物の天然だwwwwww


『なるほどなるほどww。どう思うよ村田wwww』
『俺に振るなよッ!』
『いやぁ、お前さっきから俺らにハブられて一人たたずんでたからwwww』
『全力で他人のふりしてたんだよ!』
『おそろいの服着てて他人のふりはきついものがあるってwwww』


お前腹立つなと叫ぶ村田に再び腹を壊されつつ、俺は彼らに向き直る


『ってことで、俺はこっちだから!お前ら死ぬなよ!』



 ―――――懐かしい。ひどく懐かしい思い出である。

 今からかれこれ数年前の話で、殆どの同期は任務中に儚く散っていった。村田とはたまに任務で鉢合わせるが、義勇や錆兎といったメンツはトントン拍子で出世街道突っ走っていったため、合同任務なんて最初の三年ほどで終わりを告げたと思う。忙しい身分なのか全然会えない。そして俺はことごとく師匠に会えない。噂では音柱になっていると聞いたのだが、任務は被らず。すれ違わず、むしろ奥方にも会えない。別に避けているわけではない。むしろ全力で自分から特攻かましてるし、何ならお館様の家で出待ちを狙ったりした。会えない。会えないwwwwwww

 ここまで会えなかったらもはや笑うしかないwwwwなんで会えないの師匠wwww


「師匠に会えませんwww」
「師匠にあえない弟子の反応じゃないだろう」
「え、くそ真面目に答えられて草」
「草生やしてんじゃねぇぞ馬鹿野郎」


 頭をむしり取られそうな勢いで掴まれる。痛いwwwおかしいよな、甲の隊士だよ俺ww柱との合同任務もないっておかしくない不死川、お前もうちょっと俺にやさしくしてwwwそもそも義勇や錆兎はね、全然会えないって言ってもひと月に二回はどこかで顔を合わせるんだよ。師匠だけなんだ数年逢いたいと望みながらも全然会えないの。なんの引力働いてるのwwwなんでこんなに会えないのwww


「俺が柱になったらお前のこと伝えてやるよ」
「男前wwww」
「そもそもお前が柱になれば早いんだがな??」
「なれるとでも…?」
「なんでこういうときだけ笑ってねぇんだお前は」


 柱枠は今が二人分空いてる。けれど俺はその枠を掴む気なんてなかった。そもそも俺には不相応の位だ。柱になんてなったら絶対うるさいの湧くって、俺知ってる(めんどくさい)


「アンチの一人や二人湧きそうなものだけれどね。」
「は?アンチ?」
「そうだったwwwここ大正だwwww」


草生やして不死川に対して笑えば、素早い手刀が飛んできて、思わず下がった。待って痛いwwww普通に痛いwwww


俺の頭を叩きすぎだと思うんだよね。この人。馬鹿になったらどうするのwwwすでに俺頭おかしいって師範にも師匠にも言われいるのにwwww。


「これ以上馬鹿になったらどうするのwwww」
「落ちるところまで落ちてるんだからもう何も失うモノねぇだろう」
「確かにwwwww」


確かにwwww。いやいや納得しちゃだめだろう俺wwww。褒められてないwww褒められてないぞwwww


「失うものがないっていのはある意味強いと俺は思うぞ」
「不死川さんのソレ俺をバカにしてるって俺知ってる」
「そうだな」
「肯定するのwwwwww」
「参ノ型使ってんじゃねぇぞ」
「辛辣wwwwww」


ちなみに俺の草の呼吸の参ノ型は

   草の呼吸 参ノ型 www

なので悪しからず誤字じゃないぜ。もうここで俺の草の呼吸の型を紹介すると

   草の呼吸 壱ノ型 草
   草の呼吸 弐ノ型 大草原
   草の呼吸 参ノ型 www
   草の呼吸 肆ノ型 大草原不可避
   草の呼吸 伍ノ型 腹筋崩壊
   草の呼吸 禄ノ型 草刈り
   草の呼吸 漆ノ型 m9(^Д^)プギャー

wwwwwwwwww

 言わなくてもわかるだろう、大惨事なんだよなこれwwww知ってたwwww。

絶対師範の師範は転生者わかってたことだよね。


「でもさ、不死川。お前柱になったら、水柱と組むことあると思うよ」
「………」
「wっうぃwww今ここでwwwおはぎを潰したような顔をするのかwwwww」
「ふざけんな殺すぞ」
「ひーーーーっwwww殺意wwwww」
「おはぎを無駄にするんじゃねぇ」
「そこなのwwww」


不死川のそういうところ大好きよ俺wwww師範とか師匠の次に好きだwww


「まあ、でも。柱になったら…。その時は俺を柱合会議に呼んでくれ!」
「何やらかす気だ」
「えwww俺に対する信頼が地に落ちてるwww」


 笑い終わった、次の瞬間、俺の方に鎹鴉が止まった。耳元で伝令を喚かないでぇえええwwww鼓膜破けるwwww。カァカァといつもは鳴く癖に任務伝える時だけ異様に流暢な俺の鴉、そんなところも好き。


「次は義勇たちと任務なわけな、了解…って、なんで今度は目の前でおはぎ踏みつけられたみたいな顔してるのwwww」
「だからどんな顔だ」
「親の仇見たみたいな顔してるよ」
「・・・・」
「ごめん地雷だねwwww」
「もういい。」
「ごめんなさい見捨てないでwww」
「もう知らん」


見捨てられたwwwww。
背中を向けて俺の任務とは逆方向に行ってしまった不死川を追いかけるような真似などせずに鴉に少しの肉をやって空に飛ばす。道案内してくれないと俺迷うよwwww.

というか水柱と任務なぁ…。んーーー。どっちだろう、

圧倒的義勇ではあるけれど、それ以上に錆兎と任務が被るといろいろ厄介だ、


「まあ、そこらへんはついてから考えますかねwwww」


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