短編集/男主 | ナノ


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かつて、平安の頃に打たれたその刀は後に天下五剣と謡われた三日月宗近と同等のほど美しく

白く気高く、けれどどこか暖かな刃の色を放っていた



切れ味も申し分なく、幾人もの人
幾人もの神は思い出すたびに呟くのだ




「かの刀剣が現存していたのであれば、天下五剣に加えられていたのは二条白百合だったであろう」




その刀、二条白百合


一条天皇の住まう二条通りの鍛刀師が作り上げた刀剣である。




そして何の定めか

白百合を打った刀匠は三条宗近の兄に当たるとされ

かの二条刀匠は豪快な性格であり、自分と弟に天皇直々に承った姓を聞くと笑ったという



「はっはっは!一条、二条、三条、順に並んで縁起がいい!きっと俺の打った白百合はその縁起の良さを授かり素晴らしい主に巡り会えるはずだ!」



しかし、その刀剣は鎌倉時代、忽然と姿を消してしまった



室町時代。とある人間、佐藤寒山はこう述べている

「日ノ本において、天下の名刀は童子切安綱、大典太光世、三日月宗近、数珠丸恒次、鬼切国綱、一期一振吉光、・・・そして、今もなお、現存するのであれば二条白百合である」・・・と










「・・・二条白百合と申します、時が時、また、現存が過去に分かっていれば天下五剣と謡われた刀です。
・・・この力、相応しいと思える我が主にだけ使いましょう」




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