短編集/男主 | ナノ


▼ 12

暁結城


いくら性格が緩かろうと三奇人やお世話になった後輩にとって彼は大切な先輩で尊敬するべき人で背中を見つめ自分たちの成長目標であった
それは今も昔も、そしてこれからも変わらないだろう。だからこそ自分は彼に会いに来た

王様と呼ばれる自分は、会いに来たのだ
そこに私情がないと言いきれれば嘘となる
というか九割私情である

会いたい想いはきっとだれよりも強い。その自覚だってあった


「先輩!」


だからまた、目を見て話そう
彼がいなかった学校生活のつらさとかそれが原因で学院に行けなくなった自分の話とか
宇宙人の話とか、新しく入ってきた後輩の話とか
きっと彼はあのころと変わらない笑顔で笑ってくれるし聞いてくれるから
会いたい。会いたかったという思いを前面に込めて笑いかける
俺はキチンと笑えているだろうか


「レオ…」

「会いたかったぞ先輩!」


身長を追い越すことはついぞかなわなかったけれど。それでもあなたに遭えてうれしいんだと、彼は、月永レオは泣き笑いのような表情で結城に抱き付いた



―――――――――

「宇宙人がな?宇宙人で、宇宙人を!」


瀬名泉、朔間凛月は顔を青くさせて目の前の人物に抱き付き楽しそうにしゃべ己のリーダーを見つめた。上機嫌に入ってきたと思ったらとんでもない爆弾持ってきたようなものだろうこれは
瀬名泉にとっても朔間凛月にとっても彼こと暁先輩は憧れの人物であり、超えるべき壁でもあり、恩人だ、日本人離れした顔立ちは整っていてそれに加えあの皇帝にさえ膝をつかせた実力者。
言葉を交わしたことは少ない。頭をなでてもらった日にはらしくもなくはしゃいだりもした

けれどこれは何だ

先輩はいつもと同じ…いや、久々に見た限りではかっこよさがプラスされてる気もする。というかカッコいい
そこにウザったくも宇宙人の話を意気揚々と語る奴がいるだけで自分たちの気分がガタ落ちした音がした

先輩になんて話をと顔を覆うも我らが王様は見向きもしない

いい加減にしろ先輩がいくら優しいからと言ってお前のわけのわからない話をしないでくれ
先輩違うんですこいつもステージに立つときは立派にリーダーで王様やってるんです

弁解をしたい。その気持ちしか今は二人の心にはなかった

そんな後輩二人が内心慌てているなか、至って結城の頭の中は通常運営だった。


ーあ、あの子泉君だっけ?モデルさんなんだよね。やっぱりきれいだなぁ
とか
ー彼は零の弟くん?髪とか目の色そっくりー。


そんな後輩二人が内心慌てているなか、至って結城の頭の中は通常運営だった。
ーあ、あの子泉君だっけ?モデルさんなんだよね。やっぱりきれいだなぁ
とか
ー彼は零の弟くん?髪とか目の色そっくりー。
とか。


など、かなりゆるふわ思考でそんなことを思い彼らと喋ったことや頭をなでたことなどスッカリ頭から抜けていた

彼は基本毎日会わないと忘れる頭の持ち主でそんなことなど知らない二人はただ哀れである




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