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昔々
学院には帝王と呼ばれるものが二人いました
学院の帝王と夜の帝王と呼ばれる二人はとても仲が良く、そして
「さぁ!結城これを着るんだ!」
「えー…俺でもわかるよそれ、女物だよね」
作成者とモデル(女形)という奇妙な関係でもあったのです
・・・・・
「あんなぁ、お師さん」
「僕は今いそがしい」
「これストーカーやで」
「違うに決まってるだろう馬鹿め。これは採寸だ」
「どこのご時世にモデルに了解取らず遠目から採寸するデザイナーがおるねん、あとその手のカメラ…」
「だまれ失敗作」
「理不尽!!」
しくりしくりと泣き始める彼に見向きもせずに宗はカメラを回し授業を集中して受ける結城を見つめる。お前ら授業どうした
「すばらしい、流石だ結城。授業すらしっかりと聞くとは、よこに仁兎がいるのも…」
「俺かえっていい?」
「お前はカメラで二人を取るという仕事があるだろう後喋るな声が入る」
「ごめんなぁ帝王さん堪忍な」
どこまでも理不尽な姿に心で泣きながらきちんと黙ってカメラを構える彼はできた後輩であった
―――後できちんと謝らなぁ
――――――
「…?どうしたんだなずな」
「んー…なんでもないら」
ぞわりと何かが背筋を走る感覚になずなは首をかしげつつも心配そうに見つめる彼ににこっと笑った
それにしても、何かに見れている気配が…
―――気のせいか…
そんな友人たちを横目に鬼龍は頭を抱えた
外にいる師弟の姿がばっちり見えたからである
―――なんでいんだよ、授業どうしたんだ…
聞きたいことはいろいろあるが、まずは授業に集中しよう
さっとスマホを取り出して自分の友人に連絡した彼はできる男である
「…?さっき怒鳴り声が聞こえたか?」
「だね、なんだったんだろ」
(お前ら授業はどうした!!)
(うわぁあああ副会長はん!?)
(っち、いくぞ)
(まってお師さん!?)
(どこに逃げるつもりだ!)
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