短編集/男主 | ナノ


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パァンと、何かが飛ぶ、視界がぶれて、悲痛な叫びをあげる七海を見る。腰から下が、気付けば消えていた。痛みすら感じない。目を見開いて、宙に投げ出され、地面に叩きつけられると身体がゴムの様に跳ねて転がった。


「灰原ァ…!!」


ケタケタと笑う呪霊の存在を目に入れて、俺は術式を編む。即死の攻撃だ。普通なら。動けない俺と、ひれ伏す七海の前で呪霊が俺の下半身を食べ始める。骨が砕けるような音と肉が潰される音。酷く不快だった。

この時ばかりは俺も先を考える。何をすれば七海だけでも逃がせるか考えて、術式を編んだ。一回きりの転移術式。一定数以上の血が流れた時に使用できる”縛り”を糧に編み出したソレで七海を社の外に飛ばす。

薄れゆく意識の中で最後に見たのは綺麗な白。
俺、次死んだらほんと、どこ行くんだろ。



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