短編集/男主 | ナノ


▼ おまけ2





「きゃーっ!!カイ先輩かわいい〜〜!」
「レッパラート先輩、あの、その…。なんと言いますか…」
「リドル君さ、顔正直だよね」




すごく微妙な顔で、「写真一枚良いですか?」と言われてしまう。はい、ピースピース

ちょっとフリル多めのタキシードなんてどっから仕入れてきたのさサムさん。すごく気まずそうにこちらをチラチラと見つめるリドル君の顔がほのかに赤い。楽しそうに目を細めるルークの存在を無視して、「じゃあ、次これも着ましょうか!」と監督生ちゃんが微笑むのを横目に、ネクタイを緩めた。外では学園長による「遊ばないでください!!時間がないので!!」の声が聞こえ、俺たちはサムさんから指輪とブーケを受け取り、会場へと足を向けた。

・・・が、その途中。門の前でプロポーズする順番待ちをしていると、見知らぬゴーストに腕を取られて連行されてしまう。笑った。混乱する俺と、必死に手を伸ばす監督生に全員が唖然とする。




「婿の友人だ!姫様のところへお連れしろ!!」
「えっ。えっ!!??俺!!??」
「せ、せんぱーいっ!!??」




見慣れた廊下を抱きかかえられて連行され、「え、何しに来たの此奴」と言わんばかりに俺を見たイデアの横に座らせられる。




「何しに来たの…?」
「わかんない…」




なんか、友人だ友人だと騒がれて連行された。

そう言えば、なんとも言えない顔をして、イデアはため息をつく。俺がつきたいわ。ところで床に転がってるメンツ受けんね。何してんの??




「トレイにレオナパイセン、床の転がり心地はどう?」
「はっはっは。さては喧嘩を売ってるな?」
「噛み殺されてぇなら最初っからそう言えレッパラート」




物騒すぎて草。ひゃぁ〜と声を上げつつ、会場を見渡せば、女の子受けしそうな装飾品の数々に、よくもまあこんなに溜め込んだものだなと感心する。あのゴーストたちも結婚式には本腰を入れているのだろう。

お嫁さんになることが夢だったと語る彼女に、俺はちょっと同情した




「もういいじゃん。お婿さんになってあげなよ」
「よくない!よくない!!カイ氏は拙者を助けに来てくれたんじゃないの!?なんで見捨てることも辞さない構えなの!?あとゲームする手を止めないのはなぜ!」
「馬鹿野郎。イデアがいつ解放されてもいい様にスコア差を離してるだけだ」
「ド畜生!!悪魔!!カイ氏には人の心が無いんだ!!」
「ないが??」




どんなに卑怯な手を使おうと、俺はお前に勝ちたいんだよイデア。




「あ、でも新刊は買っておいてあげたから感謝してほしい」
「死んだら意味ないんですけど!?」




違いない。まあ、死なないように学園長がどうにかするよ。最終的には。




「ところで、イデア様のお友達であるあなたはこの結婚どう思うの?」
「お似合いだと思いますよ」
「まあ!」
「カイ氏っ……!!!!」




振り向いたお姫様の言葉に笑顔で返せば、嬉しそうの頬を染めるお姫様と、絶望したかのように悲鳴を上げるイデア。いや、お前、リア充になれる事のどこが不満だ。


なりそこなった俺に比べてお前はまだ慣れるんだろ、憎たらしい。でも俺なんとなく監督生ちゃんと付き合うのヤダな…ちょっと怖い。油断したら頭からぼりぼり喰われそうでシャレにならないんだ。


タプタプと軽やかな音を鳴らしリズムゲームに熱中する。このエキスパートが難しいんだよなぁ。難易度28ってもはやバケモノだろ。平均25だぞこのリズムゲーム




「あー、レッパラート」
「どうしたのトレイ」
「俺たちはどうなると思う」
「何とかなるんじゃない?最悪学園長がどうにかすると思う」




首を傾げてそう答えれば、そうじゃないんだよなぁとトレイが笑った。何と答えてほしいんだろう。リズムゲームもイデアを抜いて一位に輝いたので、また差を伸ばすべく、レイド系のアプリを開けば、横で見ていたイデアがとうとう泣き出した。お前の無敗伝説はここで終わりと告げる。

無情だ!鬼だ!鬼畜!!ああ、なんとでも呼べ我イグニハイド生ぞ??闇の鏡に選ばれし公認の陰キャぞ??どこに出しても恥ずかしいゲーマーぞ??



―――結局、一時間もしないうちに乗り込んだ(その時の監督生のかけ声は「先輩!処女はご無事ですか!?」だったが)彼らによってお騒がせなこの騒動は終わりを迎え、カイはレオナ・キングスカラーはじめとする数人の生徒に締め上げられた(それでも周回をしていた)のち、イデアから散々泣かれた後に自寮へ帰ることができた。

この出来事はイグニハイド寮を駆け巡り、【イデアの無敗伝説打ち崩される!!】という、若干一名の不名誉な出来事として語り継がれた。なお、イデア本人はリア充に成りかけたということもあって、同情半分、妬ましさ半分の寮生によって締め上げられることとのなるのだが、それはまた違う話になるので割愛しよう。










「先輩!!先輩のタキシードも素敵だったんですけど!私、先輩にプロポーズしたいなって思って!!」
「まって!!??なんでまた男になってるの監督生ちゃん!!」













prev / next
目次に戻る








夢置き場///トップページ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -