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男主目線
あのあと夏目が来て俺達の言い合いに終止符を打ったあと、キチンと朔間が朔間であることを教えてくれた。イメチェンらしい。
そうなんだと納得すれば扉から顔を出した鬼龍にひさしぶり〜。と手を振れば後ろにぐるぐる巻にされた渉と奏汰が居て目を丸くする。
鬼龍は三人を回収しに来たみたい。
その後俺も同じクラスだからと腕を引かれて連れてかれた。んー。鬼龍より俺もお兄さんなんだけどなー。
まあ、いいや。
ーーー3Bーーー
昼休みが終わる直前クラスに帰ってきた面々に生徒はざわめいた。奇人が三人揃ったことにも驚いたわけだが、その後ろにいる「帝王」の姿に唖然とする。
本当の意味で無敗の彼が帰ってきたのだ。
今の三年からすれば彼は憧れの人であり畏怖の象徴、五時間目は教師もビビりマトモな授業ではなかった。
放課後まで一言も喋らず授業を受ける姿にさえ教師は手が震え黒板など見れたものではない。
そんなクラスメイトの内情など知らず結城は鬼龍にいわれた「喋るな笑うな」を律儀に守っている。
後ろの席でそれを見つめる鬼龍は保護者になった気分でヒヤヒヤとする。
ーーー放課後ーーー
個人アイドルとして活動すると決めていた結城はトレーニング室にて黙々と練習を重ねていた。ステップ、歌、パフォーマンスを切れのある動きと魅力的な歌声で本番通りに練習していたとき、誰かが扉を開ける気配に動きを止める。
「…、あ…。」
明らかに間違えたと語る顔。
その顔に見覚えはなく結城は困ったように眉を寄せ
「誰だ?」
と、話しかける。
その少年は明るい金髪に青い眼鏡をかけていてーーー。あれ?
「う、あぁぁ、暁先輩練習の邪魔したみたいでごめんなさい!」
何かに気づく前に青年こと遊木真は逃げ出した。
(うあーん!スバルくんどうしよー!)
(え!?ナニナニウッキーどうしたの!?)
(暁先輩の練習の邪魔しちゃったよー!)
(えええええええ!)
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