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「などということもございましたの」
蝶屋敷で彼女の話を聞いていた柱である彼らは思わず今、目の前でお茶を飲みながら息をつく少女を凝視した。ニコニコと微笑みを浮かべて楽しげに日々世話になっているこの少女はそれほどまでに激しい思考を持っていたのかと、息を呑み、そっと距離を取る
「まあでも、清姫ちゃんは嘘さえつかなければ無害なのよぉ」
「触らないでくださいまし。私はまだ、あのときの嘘を許してはおりませんわ」
「あらあら」
そっと方に置かれた手を優しく、あくまでも優しく扇でトントンと突き、手を離させると距離をとった。少しだけ悲しそうな表情をさせるカナエを無視して中庭の方へと視線を投げる
あれから、数度季節は巡った。そろそろ原作が動き出す。というか、もう物語は動き出している。那田蜘蛛山の収集はすでにかかり、そろそろ鴉が飛んできてもおかしくないだろう。しのぶさんも義勇さんの鴉が無事に任務の終わりを告げたのだから。
「私を、嘘発見器として扱うだなんて、お館様も成長されたこと…」
「それにしても、本当に清姫ちゃん年を取らないわね…」
「ええ、私、これでもサーヴァントですの。」
「さーぁんと?」
「陰陽師で言う使い魔のようなものですわ。主人に身を捧げ、尽し、守りますの」
「その主人はどうしたんだよ…」
「さあ?知りませんわ。燃やしましたから」
周囲から音が消えた
「あの方、わたくしに嘘をつきましたの。私、あの方の言うとおりに勝って見せたのに、あの方は私を捨ててほかの女と逃げたのです」
「痴情のもつれか」
「ちがいます。あの方とわたくしは残念なことにただの利害の一致でしたから。目的が終われば穏便に分かれるはずだったのでございます。あの方が、わたくしの願いすら使い、聖杯を無駄にした。ええ、燃やしましたわ。塵屑となるまで、骨一つ残さずに燃やしましたわ」
うふふふふ。あの男、この清姫に対して嘘をついたのである。嘘探知機である私をだましたことはあの世で存分に誇るといいが、許されることと許されないことの区別が付けない、頭の残念な男だった。
「聖杯に願いを言わねば帰れませんの。自分で自決などもってのほかですわ」
痛みの少ない方法で帰りたいのである。私は。
「ですからこの隊に籍を置いておりますの。」
私が人でないことくらい当然柱も鬼殺隊士も知っている。どこの世界に口から火を放つ乙女がいるのか。さすがにあの清姫であるとは思っていないみたいだが
さてと、
「お館様に呼ばれておりますし、そろそろ行きませんか?」
にっこりと笑って見下ろす私を、時間まで待機していた柱達は得体の知れないものを見るかのように見つめたのだ。
そして…
「素敵な方。嘘をつけない香りがいたしますわ…。ええ、ええ。お館様、わたくしこの少年をますたぁにしたいと思うのですけれど!」
主人公
相当清姫ちゃんに性格引きずられてる現代主。清姫よりは感情の制御ができる。鬼滅隊士たち公認の人外。彼女の前で嘘つくこと=死なので、なるべく彼女が近くにいるときは気を付ける。そのおかげで隊士全体の気配察知能力が向上しているため、柱もお館様も渋い顔。江戸時代の聖杯戦争に巻き込まれ、聖杯を当時のマスターに奪われたため願いもかなえられず、座にも帰れていない。自決してもいいけれどなんか癪。マスターは焼き炭にした。口から火を吐く美少女(なお年齢)この度、柱合会議にて滅茶苦茶嘘つけなさそうな素敵な殿方(ますたぁ)に出会ってしまい、心が高鳴ってる。恋じゃない。
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