短編集/女主 | ナノ


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アルミンが去って一週間後
エレンが後ろにリヴァイ班を引き連れて私を撫でる
何事だろうといつものように彼に鼻を押し付ければ難しそうな顔で「こいつです」ととんでもなく悪人顔のリヴァイ班長様に見せる

え、なにごと、めっちゃこわい




「ほぅ、悪くない」




何がよ
不安になりエレンを見つめればポンポンと撫でられる
いや、だからなんでここに私を連れてきたし
後ろで馬仲間が「ざわ…ざわ…」としている、どっかで見たぞコレ




「こいつを次の壁外調査でお前の乗る馬にしたいと」
「はいっ!こいつとは長い付き合いですから」
「長いってどれくらいなの?」
「こいつが仔馬のときに親に内緒で飼ってたんで多分7年以上」




どっからか寿命近いんじゃないのかと聞こえた気がしたが残念ながら私は普通の馬より長く生きるぞ




「そうか、俺はかまわない」
「兵長本気ですか?エレンには軍事用の馬を用意した方がいいと思いますが」
「この馬、徴収令で来た馬ですよね、品種改良の軍馬の方が早く体力もありますよ」




オルオとペトラさんがリヴァイさんに進言するがエレンが意地でも離さないというように私の手綱を握りしめる
失礼だな、彼らと同じ速度で走れるわ




「そこのクソガキのことだ意地でも離さねぇだろう」




流石兵長よくご存じでというより完全に性格が把握されてますけどいいのかエレン
いや、そこは喜んで「やったなカルデア!」じゃないよ




「決まったんなら行くぞエレン、そいつ連れてこい」




その言葉と同時に近くにいたらしい軍事用の馬に乗るリヴァイ班エレンは返事をして私に飛び乗る

…ん?エレン痩せた?

まぁ、いいけど、あとみなさん容赦なく全速力で行かないでもらえます?
なに?平民生まれの新人いじめってか舐めんなよ




「いくぞカルデア」




手綱しっかり握っとけよパートナー
私は一鳴きして彼らの方へと駆ける

そのまま後ろに着き徐々に彼らの横を抜かし先頭を行く
エレンがはしゃぐような声を上げ
先輩方があり得ないものを見るような目で私を見つめる




「ちょっとエレン!?なんで追いつけるの…?」
「おいこらクソガキ兵長の先を行くんじゃねぇ!」
「あの馬、形的に軍事用の馬ではないよな」
「どうなっている」
「…」

「すげぇ!カルデア早いな!」




私は悔しそうな馬たちに鼻で笑えば明らかに「このやろう」と聞こえる



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