短編集/女主 | ナノ


▼ 3

「カルデア。よーしよし、お前はいい子だな」




何故かボロボロになったエレンが私の頭を撫でる。ここは訓練兵を鍛えるための施設。なんで私がここにいるのかというと壁外調査などのため馬の徴収令があり、エレンたちが訓練兵として行くときに一緒に付いてきたのだ。

幸いなことに私が回されたのは訓練兵の訓練用の馬で今ではエレンのパートナー。
たまに他の訓練兵も乗るため104期生はほぼコンプしたと言っても過言ではない。




「聞いてくれよまたジャンの奴がさ!」





また喧嘩したの?
私の首に顔を寄せてグリグリと動かすエレンは頬を膨らませて私を見る




「なんなんだよあいつ、俺にばっかいちゃもんつけてきやがって!」




そういうお年頃なんだからしょうがないじゃん


ブルルっと低く鳴けば意図が伝わったのかますます頬を膨らます。

やっぱり主人公と言ってもまだまだ子供だね




「カルデアもあいつの味方かよ!」




首を横に振ってやった、その時だ



「エレン、あなたはまたカルデアを困らせて…」
「カルデア。エレンはほっといて毛並みを整えよう」
「うげっ…。ミカサとアルミン」




ミカサが私からエレンを離し
アルミンが手に待っていた櫛と水の入ったバケツを持ちながら私の手綱を引き水場へと歩く





「ふふっ、ごめんねカルデア。エレンがいつもあんなんで」
「ブルル」
「気にしてない?そう、良かった」




手綱を木に巻いて、バケツの水を少量私にかぶせると汚れを櫛で落としていく
少し茶色の泥水が主に腹部のあたりから溢れた




「腹部は靴が直に当たるからやっぱり汚れてるね。…よし、きれいになった」




ありがとう。
その念を込めて彼の顔に頭を近付けて鼻を擦り付ける




「わっ…!カルデア、くすぐったいよ!」




そんな様子を他の馬から微笑ましいものを見るように見られて少しだけ恥ずかしい。
けれどやっぱりアルミンもエレンもミカサも好きだ

この時間が続けば良いのにと、無理なことを知っていながら願う私はさぞかし愚かだろう



prev / next
目次に戻る








夢置き場///トップページ
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -