番外編等 | ナノ


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 頭が痛かった。目の前に広がるのはきれいに赤赤赤の赤たっぷりな答案用紙。もちろんこの赤が〇や◎ならここまで頭を抱えることもなかっただろう。全部であるのが問題であった。


―――私の授業ってそんなにわかりにくい?


 誰に聞くまでもなく教師である女性がため息をついた。教師という職種について早10年。
そろそろ結婚も考えるべき年になってきたが、仕事の楽しさに目覚めてからは彼氏すらいない、この魔法士育成学校、人間学―歴史部門担当―、教員モラブティアは心なしか痛む眉間を抑え、頼りになる先輩教師に泣きついた




「舐められてるんじゃないのかお前。」
「なん、ですって…」
「いやぁ、こいつ俺の授業じゃ優秀だぞ」
「なっ…!」




ん、だと。そう言いかけた言葉を飲み込み、私はにっこりと笑みを浮かべた。その顔はひどくひきつっているに違いない。


―――舐められてるんじゃないのかお前


 容赦のない先輩の言葉が私の胸を刺す。た、たしかにあの生徒、人が必死に授業を行っていればニコニコニコニコどこがおもしろいのか口の端吊り上げて笑っているのだ。舐められている。確かに舐められているのかもしれない。
 
 授業用のプリントを印刷しながら、先ほどの先輩の言葉がぐるぐると回る。まあ、確かに、この学校の生徒や先生に比べれば自分には煌びやかさがないのは確かだし、魔法の才能も凡人に毛が生えた程度。そんな私がなぜこの学校の教員をしているのかといえば一重に前世から持つ、導く才能とやらが他の教員よりも飛び出ていたからだ。私にその自覚はなかったけれど、私の科目において赤点保持者など出したこともなかった、…今受け持つ、生徒以外では




「まあ、正直な、わざとなんじゃないかと俺も思う」
「ですよねぇ。彼の兄弟ならともかく、彼が赤点とか…」




考えられないんですけれど…。


 誰に言うこともなく消えていった言葉に、先輩がポンッとやさしく肩を叩いた


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