番外編等 | ナノ


▼ 3

カルナにあやとりを教えながら荷馬車に揺られ、途中からはナイチンゲールも目を覚ました。
いやぁ、カルナとエレナちゃんを見た瞬間「害悪!」と言いながら腰にあるご立派なものぶっ放そうとするときはどうしようかと思ったけど‥‥!
害悪なのはこのお話メイヴちゃんとかだから。いや、エジソンもちょっと「うわぁ」って思ったけど。人間から見たらどっちも害悪だよね。

…ところでさ、私、一応モブ志望というかモブなわけ。モブが主人公みたいに時間逆行してメインストーリー介入ってやばくない??そろそろ自己暗示辛いんですけどぉ…。
なんど私はモブだと言えばわかるのさ!!嫌だよFGO関連物語物騒なんだからモブでいさせてくれよ!死亡フラグばっかじゃん…!!

あやとり合戦を始め始めたエレナちゃんとカルナを横目にため息をついてからナイチンゲールの横に移動した




「ナイチンゲール。多分今から会いに行くのは、ナイチンゲールからしたら理解しがたい生き物だし、生物だから、言葉が伝わらない動物を相手にすると思ってたほうがいいよ」
「動物…?彼らの口ぶりからして普通に英霊なのでは…」
「英霊も英霊だけどさ、その、10人10色っていうか…」




色が濃すぎると言いますか…。うん。

ごめん、ちょっとくらい言いよどむ事は許してほしい。私も理解できなかった

普通頭にライオンつける?どんだけ好きだったのさ。
少しだけずきずきと痛み始めた頭を押さえて下を向くと、寝かせていたマシュがうっすらと目を開けた




「…こ、こは……。っ!先輩はっ!!」
「よこ」
「――っ、先輩ッ!起きてください先輩ッ!」




飛び上がった彼女にそう告げれば素早い動作で立香の肩を掴んで揺らし始めた。
そんなに揺らさないであげて、割とそれきついから。最悪戻すやつだから

いつもならば止めるナイチンゲールがそっと横を向く。そうだね。君、私にアレをしすぎて具合悪くさせたもんね。人様に注意できる立場じゃないよね・・・




「んっ…」
「先輩、先輩……!良かった、起きました!」
「頭が痛い……。」




うぅっと呻く弟分を眺めて、目の前に居たカルナを見つめれば気まずそうに眼をそらした




「そうでしょうとも、モブ子が彼の宝具を防いだ衝撃であなたは頭から倒れました。不甲斐無いことに私も気を失っていましたが、どういうことかモブ子が交渉して私たちは殺されることもなく、彼らに引き回されているようです」




少々敵意のこもった眼差しをナイチンゲールがエレナちゃんへと送れば。エレナちゃんはエレナちゃんで余裕たっぷりの微笑みを乗せた。でもその手にあやとりがある時点んでいろいろ台無しだなと思うのは私だけだろうか。




「あら、起きたのね〜。今、あなたたちは輸送中。逃げたいなら逃げてもいいけど‥‥…。生憎、この子たちは積極的にマスターを狙うわよ。カルナはマスターを殺さないっ…というか、攻撃しないって約束?お説教をモブ子に受けたから動かないとは思うけど……。」




一斉にガチャンと音を立てたロボットに魔術で水を被せて機能を停止させた。そのあとに雷を落とすことと乗り物の周りに防御のルーンを展開することを忘れない。最低限のロボットは残したしセーフでしょ。
エレナちゃんがあり得ないものを見るまなざしで私を見つめているけれど




「勘違いしないでエレナちゃん。別に私は敵対したいってわけじゃない。……ただ、藤丸立香の【邪魔】立てが許さないだけ。可愛い可愛い弟分だし、エレナちゃんがこの時代でエジソンに手を貸すのと同じだよ」
「……生前、というかあなたの場合は現在進行形でかかわりがあるのね。そして、【導き手】である貴方が彼を守護するってことは、今回の【物語】彼が主役なのかしら?……良ければ教えてくれないモブ子?貴方が彼に肩入れする本当の理由。どんな物語?どんな伝記の主人公なのかしら」
「エレナちゃん怖いね。でも、立香は主人公になり得ないよ。ううん。なり得てはいけないよ。……でも、そうだね、この物語。題名を付けるなら、Fate/Grand Orderって、とこかな」
「…ふふっ、素敵じゃない」




笑顔と笑顔で応じ合う会話は結局は茶番だ。
そして、エレナちゃんは正しくサーヴァントとして私を危険なものと認識した。




「…ほんと、敵に回したくないわ、あなたは。…さて、と、どこに連れて行くのか教えるわね。さっきモブ子が言っちゃったけど私たちを指揮する王様。エジソンのところに行くわ」




驚愕に顔を彩らせ愕然とするサーヴァントと人類最後のマスターに私は苦笑した。
どんどんと説明をしていくエレナちゃんはエジソンを面白いと評するけれど…あれは面白いというより…何だろう。自意識過剰というか、頭のいい馬鹿というか…。そういえばもう一人同類の男がいたな。FGOでは高確率で悪役側で出てくる奴。どちらも同類だから張り合うわ張り合うわ…。いっそアレは仲のいい領域ではないのだろうか

いつの間にか到着していたエジソンが待つであろう門の前で言い争いをし始めたカルナとナイチンゲールの仲介に入りながら、建物を見上げる。というか大統王って…。馬鹿なの??

ここで待っていると言われたやけに豪華で広い広間で立香の頭を撫でつつDr.ロマニと情報を交換する。ところでロマニさんよ、君、開口一番「あの時はごめんなさい」ってなんなの?貴方と知り合ってませんけど??ソロモンさんとは他人ですけど??(ソロモンのところに行ったのは大学生時代。現在高校性)赤の他人におそらくだけど次元越しの土下座決められる身にもなってくれませんかね?いや、一応フォローして「大丈夫、何があったか知りませんけど、これから気を付けていきましょう」と言えば泣き声が聞こえてきた「ウえぇぇえ…ふじが優しい、こわいぃいい…」

……しばき倒したろうかコイツ。

今ならサーヴァントじゃないけれど瞬間強化かかった気がする。



しかしその怒りも登場したエジソンのおかげでつぶれた。




「……。」
「……。」
「……。」




何も事情を知らない立香たちが絶句してる。そうだよね。私も改めて見て絶句したよ。




「ね、驚いたでしょ。ね、ね、ね?」




無邪気なエレナちゃんかわいー。
所詮現実逃避だ。それにしてもいい笑顔ですねブラヴァツキ―夫人。そういう性格の悪いところ嫌いじゃない。
カルナが心配そうにというか気まずそうにこちらを見ては同意するように頷いた




「紫苑でも驚くとは思っていた」
「大丈夫、驚いてないよ。昔から独創的な考えする特異なやつだったから」




きっとあいつの頭一つを再現することができたならばそれが特異点となるだろう。聖杯はないけれどある意味、これがほんとの特異点ってやつかな。寒いけど。
心配できる施しの英雄に飴を手渡して頭を軽く撫でながらエジソンを見つめる

そしてとうとう人間を主張し始めたぞコイツ




「エジソン。……自分の姿鏡で見てきな。筋肉質でぱっつんスーツを着こなすライオン顔なんて子供が見てみ?泣くぞ」
「人間は差別されるべきではない!」
「差別っていうのは望んだわけでもないのにその容姿や疾患をもって生まれてきてしまった人間に使い守る法であって、望んでその容姿になった(性同一障害は除く)君が言っていいことじゃないんだよ??知能があれば人間ってわけじゃないんだよ??イルカもクジラもチンパンジーも頭がいいから人間なわけじゃないでしょ?」
『ふ、ふじ!君そんなに言葉をオブラートに包んでさらに八つ橋で包んだみたいな言い方できたのかい!!?僕があんなことあんな姿で言ったら「要するに生前は人間だったけど、召喚されたら獅子の頭になっていて、でも知能が劣化したわけでもないから問題ない!と。まさに合理主義の化身だねこのライオン!…ところで頭大丈夫?馬鹿なの?」って冷たく切りしてるだろう!!?』




君が!今!僕と彼を差別化してるっ!!

音声で聞こえてくるすすり泣きの声に広間が何とも言えない空気になった。
なんだろう。なんで私、一方的にしか知らないはずの相手にディスられてんの??
いや、ぶっちゃけちょっと思ったりもしたけどさ…。

そしてやっぱり進んでいくのは残念なことにエジソンが指導権を握ってしまった会話。
でも、やっぱりね、うん。エジソンの今の考え、いや、何かに取りつかれたのかそれとも血迷ってる最中なのか忘れたけれどバカみたいな空想妄想幻想を並べ立てる。ロボットの生産は人の手で行ってるのはわかるけど、四六時中働くことは人間難しいに決まってる。過労で死ぬぞ。

そこにナイチンゲールがツッコミ、やはりこの案には乗れないと再確認すれば地下牢にぶち込まれた。もう少し優しく扱ってほしい

意気消沈して落ち込むマシュの頭を撫でつつ、少し怪我をしている立香に包帯を巻く。
私自身は生身の人間だからかカルナが横でずっと手をつなぎ乱闘している場に行かせてはもらえなかった。




「はぁ、本当はモブ子だけでも出してあげたいんだけど、貴女侮れないもの。
…そうだわ、ねえ、立香?どうしてあなた、協力を拒否したの?カルデアの優男が言う様に途中で裏切る手だってあったでしょうに。少なくともこういう展開は予測されていたはず。なのにあなたは愚かな道を選んだ、どうして?」




重々しくため息をついたエレナちゃんが立香に問いかける。
その瞳は嘘を許しても偽りは許さない。
そんな輝くを放っていた。けれど立香はそれを目に入れながら微笑むように言葉を紡ぐ




「んと、ナイチンゲールのためかな」
「私の、ためですか…?」




どうして…、心底わからないと言いたげにナイチンゲールは首を傾げ、私を見上げるが、私はあえて微笑み、エレナちゃんを見上げる




「…‥‥そうね。そういうことなのね。一度仲間になった者は決して見捨てない、か。なるほど、モブ子が貴方を大切にし、慈しみ、守り、導く意味が分かるわ。それはマスターとして、人間として素晴らしい振る舞いね。愚かだと、ほかの誰かは思うかもしれないけれど。貴方の振る舞いは、誰に卑下するでもない高潔なものよ。―――、この場にいる全員が彼女に導かれた者なんて、少しドラマティックだわ。そして、その不思議な縁に導かれたよしみで教えてあげる。…‥‥安心なさい。すぐに救いは来る、それまで待っていてちょうだいな。」





ちなみにエレナちゃんが帰ったあたりからの私の記憶はない。ナイチンゲールとマシュ曰くいきなり首がガクンと下がり吐息が聞こえたとのこと。
うん。割といっぱい術とか使ったしね。カルナとのお別れが見れなくで残念だわ。
当のカルナさんは寝ている私を見て起こすのはいろんな意味で不味いと撤退していったらしい。乱闘は??乱闘無し…??原作を変えてしまったのか、申し訳なさでいっぱいだわ。というかさすがは施しの英雄。寝ていたら起こさずに去ってくれるとか紳士。私の育て方がよかったのかもしれない。

目を開けた私を見て思いっきり抱き着いた婦長の胸が当たって息苦しかったけれど。婦長がデレたー!

でもそのあとに理由を聞けば、私、二日くらい目を覚まさなかったんだってね??そりゃ心配するよね

のんきにそう呟けば寝ている間に仲間になったロビンとビリーに頬を抓られる。めちゃくそ痛いよぉ。私英霊じゃないんどなあ。

知らない間に話は進むし、英霊を拾いに行くらしいけど、大丈夫?彼女たち可愛いけど、とある一点においては壊滅的にダメな子たちだよ??ほんとにいいの?迎えに行くのつらそうだけどほんとに大丈夫??特にロビン




「私行きたくないなぁ。」
「ダメだよ」
「ダメに決まってんだろ」




お二人とも異常に返事の返しが早い。逃がさないと言わんばかりに肩を掴まれる。人間でモブだからもうちょっと優しくして。
























prev / next
目次に戻る



 




夢置き場///トップページ
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -