歌を…番外編 | ナノ


▼ ×ワートリクロスオーバーネタ

三門市 人口28万人。ある日この街に異世界への門が開いた。

 『近界民(ネイバー)』 後にそう呼ばれる異次元からの侵略者が門付近の地域を蹂躙。街は恐怖に包まれた。
 こちらの世界とは異なる技術を持つ近界民には地球上の兵器は効果が薄く、誰もが都市の壊滅は時間の問題と思い始めた。

 その時 突如現れた謎の一団が近界民を撃退し こう言った。

「こいつらのことは任せてほしい」
「我々はこの日のためにずっと備えてきた」

 近界民の技術を独自に研究し「こちら側」の世界を守るため戦う組織、界堺防衛機関『ボーダー』。
 彼らはわずかな期間で巨大な基地を作り上げ、近界民に対する防衛体制を整えた。

それから4年

 門は依然開いているにも拘らず、三門市を出て行く人間は驚くほど少なく、ボーダーへの信頼に因るものか、多くの住人は、時折届いてくる爆音や閃光に慣れてしまっていた

そんな環境防衛機関『ボーダー』にかつて伝説とまで謳われた『チーム』が存在する。そのチームの名を『高専隊』。本来ならば隊長の名がそのまま使われるチーム名において、酷く珍しい名を冠した『高専隊』は戦闘員3人、オペレーター1人(なお正規ではなかった模様)の編成だった。

戦闘員
万能手(オールラウンダー):五条悟
射手(シューター):夏油傑
特殊工作員(トラッパー):家入硝子

オペレーター:冥冥(非正規メンバー)

彼らの活躍は目覚ましく、侵入してきたネイバーを悉く切り伏せ民間を守り抜く。しかし高専隊の存在も長くは続かなかった。ネイバーによる攻撃で負傷したわけでもない、チームが仲違いをしたわけでもない。戦闘員である彼ら3人が不意にこういったのだ。


『『『飽きた』』』
『おやおや(笑)』


その時のボーダー内の衝撃は言うまでもない。伝説と呼ばれた彼らのその発言。同期である旧メンバーや職員たち必死の説得もむなしく彼ら3人はあっさりと、それはもうあっさりとチームを解散させ自由気ままにボーダー隊員として活動した。ついでに活躍もした。
問題行動ばかり起こし碌なことをしない3人であったが、彼らはボーダー隊員にとって今なお生きる伝説だった。そしてそんな彼らがあるとき中学生くらいの少年少女らを拉致ってボーダーに乗り込んだのである。勿論ボーダー内は混乱を極め、緊急会議を開いた。だというのに糾弾される側であるはずの『高専隊』はいつものように椅子に寛ぎながら拉致してきた少年少女合計7名の頭を撫でまわし説明を求めるボーダー側に耳を貸す様子すらない。
ボーダー隊員が関係のない民間人を攫ってきた。ネタに飢えるマスコミにとって願っても無いレベルで話題性しかないネタ。彼らの手によって拉致された少年少女が出るトコ出ればボーダーは終わる。話を聞かない高専隊に耐えかねてボーダー職員と幹部らは縋るような目で拉致された少年少女を見つめた。

そこで気づく。

 少年少女たちが別に平気そうな表情でこちらを見ていることを───。




 転生したと思って日々を過ごしていたら住んでいた家はネイバーと呼ばれる異世界からの侵入者によって壊され、姉と姉の友人がボーダーに入るといい、私は前世(二回目)の教員に拉致された。何を言っているのか分からないとは思うけれど正直私が一番分からない。けれどこの状況になれている自分が居て、拉致された後は姉と姉の友人が入る予定だったボーダーという組織に加入させられた。
 横に居る悠仁を見つめながら野薔薇や伏黒、二年の先輩方もどうやら転生していたらしい事実に安堵する。
 案内された食堂で私たちは元担任からこの世界の大まかな説明を受けた。そして当たり前というべきか、不都合と言うべきか、前の世界とは違うところがいくつもあるらしい。

この世界に呪霊は存在しない。
けれど呪力は僅かながらに存在する。
トリガーという特殊武器を用いてボーダーはネイバーと戦っている。
私達にはこの世界でボーダーの隊員として戦う。
サイドエフェクトという特殊能力があるという事。

「サイドエフェクトにもいろいろあってね、未来を視る、動物と話す、気配を消す、もうそれはもう色々さ」
「先生たちってサイドエフェクトあんの?」
「お、良い質問だね悠仁。僕はあるよ。まあ、六眼だね。簡単に言うと、君たち今からボーダー内でランク戦に参加してもらうんだけど、ランク戦で敵と戦う際、トリオン体っていう仮初の肉体で戦うんだ。僕の六眼はそのトリオン体の情報を読み取ることが出来る。生身の人間を見ればトリオン量っていう呪力のようなモノがどれくらいかるのかってのもわかるよ」
「それ強いん?」
「敵の手札が全部見えてるようなものだからね。で、傑は──」
「待ってくれ悟。私のサイドエフェクトのことを話す前にヨルと恵に聞きたいことがある」
「?」


 五条先生の言葉を遮るような形で夏油先生が伏黒と私の方を向いた。その行動に私も夏油先生を見つめれば、彼は意を決したように口を開く。


「恵、ヨル、君ら異様に動物に懐かれるとかなかったかい?」
「俺はありますけど…。」
「私はないですね」
「そうか、もしかすると恵にもサイドエフェクトがあるかもしれない。ヨルは術式が術式だったから良く分からないが…。とりあえず私のサイドエフェクトについて説明しようか。私のサイドエフェクトは動物や動物の形をした無機物を少し操る能力だよ。」
「チート?」
「…まあ、便利ではあるね」


 だから前の人生で私と少なからず術式が似ているきみたちはどうかと思ったんだ。そう言って笑う夏油先生に、私はそっと手を上げた。


「サイドエフェクトではないとは思いますが、私の”黒達”は存在していますよ」
「「「──っ!!」」」


 私の言葉に全員がコチラを振り返る。


「私の術式は魂に付属するモノであると聞いています。なので二度目の人生をついてきたんでしょうね。けれど」


 そっと足元を見れば彼らの視線を私の足元へ向く。
 そこには何の変哲もない私の影。前の人生の様に揺れることもなく、何かが出てくる気配もない。ただそこに存在しているということだけはわかる僅かな呪力。それに全員気付いたのだろう。眉を顰め、私を見上げる。


「出てはこないんです。先ほど先生が言った通り呪力というものが僅かながらにしか存在していないから。そしてこの世界はおそらく私たちが前回生き抜いてきた世界ではなく、まったく別の新しい世界なのだと思います」
「そうだね。僕もそう思うよ。というか、転生とかあるんだね。僕はそっちにびっくりだけど」


 まあ、いいんじゃない?こうやって全員揃ったわけだし。そう言った五条先生の言葉に私たちは一瞬だけ顔を見合わせて笑う。そうですねと肯定しながら頷けば、夏油先生が口を開いた。


「話は終わったし、七人とも、頑張ってB級団員に上がっておいで」
「ちなみに優太はもうBだよ」


 ピシリと、先輩方の身体が固まった。







「おっ、高専第二と高専第三がいるね」
「高専?」


ボーダー内の案内を兼ねて食堂に来ていた三雲は宇佐美の声にそう聞き返した。そんな三雲の声に宇佐美が「ああ、修君知らない?」と顔を向け、後ろにいた玉狛第二(三雲修、雨取千佳、空閑遊真)の三人に振り返る。


「あそこの机にいる子たちだよ。高専は一応第一〜第三まであるんだけど、あそこはねボーダーのどの派閥にも入ってないの。というか自由なんだよね。一応支部もあるんだけど、あっちの支部は楽しければOKって人たちが多いかな。ちなみに所属している部隊は全部Aチーム以上。だよ」
「す、ごいですね…。」
「うむ。ぜひ手合わせしたいですな」
「あはは、やめてた方がイイと思うなぁ。空閑君がいくらつよくても あの子たち特殊だから。…全員戦闘慣れしすぎてるんだよね。」
「全員?」
「うん、そう。あの肩まである黒髪の子いるでしょ?あの子は香取ヨルちゃん。B級上位チーム、香取葉子ちゃんの双子の妹で、高専第三のオペレーターの子だよ。しかも射手(シューター)でマスター級(クラス)持ってるの。つまり戦えるオペレーターだから指示出すのも的確。まあ、それを覗いても処理能力すごいからオペレーターとしても一流だと思うよ。処理落ちさせようとしても落ちないんだもん」


 いやぁ、すごいよねぇ。なんて言いながら宇佐美は言葉をつづけた。どうやらヨルと呼ばれた少女の紹介ついでに他の隊員の簡単な情報を三雲達に教えるつもりらしい。


「で、ヨルちゃんの横に居る子が釘崎野薔薇ちゃん、射手(シューター)。トリオン弾の扱いが上手い子だね。ボーダーでも三本指に入るんじゃないかな。次に野薔薇ちゃんの横に居る伏黒恵君。戦える狙撃手(スナイパー)。遠距離戦も近距離戦も両方こなせる子だね。確か高専第三に遠距離がいなかったから狙撃手に転職したんじゃなかったっけ。で、最後に今、ヨルちゃんの隣に座った虎杖悠仁君。彼もスコーピオン使いなんだけど、使い方が面白くてね」


 不意にグッと宇佐美が拳を握るような動作をする。それに玉狛の三人が首を傾げればにっこりと笑って口を開いた。


「変幻自在っていうスコーピオンの特質を利用して、彼、スコーピオンをメリケンサックみたいに作り変えるの。他の隊員が刀で戦う中、彼と高専第二の攻撃手だけが拳で戦うのよ。それがまあ、強い強い。で、次は高専第二の説明ね」
「はい、お願いします」
「お願いします!」
「はーい、じゃあとりあえず座ろっか」


 近くにあったテーブルの椅子を引き、宇佐美が腰を下ろせば玉狛の三人もそれぞれが椅子に着く。三人が席に着いたのを確認して、宇佐美が一人一人指差しながら彼らの情報を落としていった。


「高専第二は唯一戦闘が出来ないオペレーターの祈本里香ちゃん。攻撃手(アタッカー)弧月使いの乙骨憂太君。この二人は付き合ってるからちょっかいは出さないようにね。怖いから。憂太君は個人ランク戦には参戦しないんだけど、注目すべきはトリオン量かな。千佳ちゃんよりは多くは無いけれど、彼のトリオン量は目を見張るものがあるよ。それから狙撃手の狗巻棘君。棘君は射的の正確さもあるんだけど厄介なのは隠密の高さ。見つけられないんだよね。」
「狙撃手は見つけられると浮いた駒になるので…」
「まあ、それもそうか、で、次は禪院真希ちゃん。攻撃手だよ。使う武器はこれと言って決まってない。なんでも使える。相手チームによって持ってくる武器が違う子。で、修君並みにトリオン量が少ないかな」
「僕、ボーダーに入る最低限の2ですけど」
「彼女もそれくらいだよ。だから彼女はメイントリガー1つ、サブトリガー二つから三つで戦ってる」
「!!」
「まあ、それは彼女の技量によるものだから修君は真似しない方がイイかな」
「ですよね…」
「そうそう、彼女の戦闘力がモノを言ってるだけだから。で、最後に、パンダ君」
「…え?」
「パンダ君」


 雨取の言葉に宇佐美は繰り返した。かく言う三雲も宇佐美を凝視し、唯一パンダという存在が何かをわかっていない空閑が首を傾げた。



「と、言っても本当にパンダなわけじゃないと思うよ。まあ、常にトリオン体で過ごしてるから、彼の正体を誰も知れないんだけど、パンダの姿をした攻撃手だね。悠仁君と同じようなスコーピオンの使い方をする人だよ。パンダ君はわかりやすいから、多分一発でわかるんじゃないかな」


 これで高専第二第三の説明はおしまい。


「高専第一はある程度みんな知ってるし、知り合いに聞いてみてもいいと思う」
「宇佐美さんありがとうございます」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「どういたしまして、じゃあ玉狛支部の方に戻ろっか」


 宇佐美の言葉に三人は返事を返し、その後をついていった。






※こっから始まるワールドトリガー×呪術廻戦組クロスオーバー夢。





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