PTAが怖いんだっ…! | ナノ


▼ 2

〇監督生の性癖に世界が反映させられてしまった話





「た、たいへんです!生徒の魔法が暴走して監督生さんの性癖に沿った世界になってしまいました!!」
「Ωバース一択じゃないですかそんなんヤダーッ!!」




うぉあああああっ!!??思わず叫んだ監督生に落ち着けと言いながら状況を確認するべく歩き出す。学園長室には事態収拾に動くべく教員が集められ、寮長と副寮長を校内放送で呼び出した。やることが多すぎて頭痛がするが、次にやることは寮長達が集まる前にどんな世界になったかの確認だ。悲しいことに成績はそこまで振るわないが魔力量だけならドラコニアを除きトップクラスの保有者だったため、この状況が最低でも一か月は続くとわかっている




「それで、監督生ちゃん。年頃の女の子にこんなことを聞くのも悪いんだけど…、自分の性癖分かるかな??」
「バ、バブになりそう…。にゃんこ被ったルイス先生ママみ強くってヤバイ。生まれたい」
「監督生。無駄話してる暇はないんだ。わかるな???」
「にゃんこ脱ぎ捨てるの早すぎませんか先生!!??
「監督生。お前の性癖次第では俺たち教師がPTAにしょっ引かれ、吊るされ、晒しあげられる。余裕がない」
「ひ、久しぶりにルイス先生のPTAいやいや症候群を見た…」




スミマセン。説明します。目の前で正座をし始めた監督生を止めず、俺らの中で比較的穏やかな現代語教員が聞き始めた。ちなみにこの教員、怒ると滅茶苦茶怖い。俺は学生時代も教員時代もお世話になったことなどないが横にいるペインは幾度となくお世話になったと聞いているし、怒られた後は尻尾が股下に、耳はぺたんと伏せていた。

というか、大の大人に囲まれるか弱そうな少女の図はある意味事案に近いものを感じる。さて、監督生がぽつぽつと語り出した性癖、及びΩバースの世界の説明を聞いた教師陣は戦慄した。




「男が、子供を埋める世界…??」
「優秀な人間がα、凡人がβ、αと番になるために生まれ、庇護欲をそそる容姿のΩ…??」
「妊娠薬と女体薬がなくてもか?」
「というか人間が発情期?獣人でもないのに?」
「いや待て、オメガはフェロモンを垂れ流すんだよな…?」




一斉に俺に向けて視線が集まった。なんだよ。何が言いたいんだお前ら。




「う“っ、どうしてだ、どうしてときめかない!!??」
「今ならこの顔面詐欺にときめいても許されるだろ!!」
「こいつ絶対αだ!!俺にはわかる!溢れ出るカリスマ性が俺には見える!!」
「顔だけΩ野郎がっ…!!」
「殺すぞ」




シンプルに殺されたいんかお前ら。よこでペインが拳を鳴らしながら目線で「殺りますか?」と問いかける。寮長達が帰ったら全力で殴り潰してほしい。許す。首をそっと振りながら後でなと伝えれば静かに頷いたところで、監督生が不意に顔を上げた




「あ、いえ、ルイス先生は後天性のΩです」


―――・・・・・・。


「最初はαなんですけど、何かの拍子に突然変異で後天性のΩになります。というか、先生が攻めってちょっと厳しいかなって。何があっても運命力で下になるんです!!先生は!!」



「「「「・・・・・」」」」



「ハッ!!」
「ヤバイ!!ルイスが息してないぞ!!」
「こっちに戻ってこいルイス!!」
「安心しろ!俺たちが何とかしてやるから!!」
「というかむごいだろ監督生!!」
「ちなみにΩの発情期は三か月に一回で、αがΩに転換した時、その場で発情期が起きるんです。発情期に疼くルイス先生って絶対エッチですよ!!」
「追い打ちをかけてどうする!!!」
「ルイス!!ルイス!!縄紐を持ち出して何をしようと!??」
「生徒に手を出して(出されて)PTAに晒しあげられるくらいなら俺は今ここで死ぬ」
「お供しますよ寮長」
「誰かあのバカ止めろ!!」
「追従するなシェパードッ!!!」




もうそこからてんやわんやで俺は別室に誘導されるとクルーウェルが可哀相なものを見る目でこちらを見下ろしていた。監督生、許されることと許されないことが世の中には存在するんだぞ。というか俺が男に掘られる側…?ゾッとする…。

自分でも自覚するくらいには重すぎるため息を零せばクルーウェルが両手に持ったマグカップを目の前に置くと、テーブル挟んだ向こう側のソファーへと腰を下ろし口を開く。ああ少しずつだが落ち着いてきたぞ。不意にクルーウェルが俺に声をかけた




「ルイス。提案がある」
「クルーウェル…?」
「一か月、睡眠薬を飲み続ければ大丈夫なんじゃないか」
「名案だな」




―――え、リアル眠りの姫ですか??ここにはいないはずの監督生の声が聞こえた気がした。そもそも、αとかΩとかPTAが考慮できるはずもないのだ。全部俺たち教師が悪――――…




「大変だルイスにクルーウェル!!監督生がもしかしたらドムだかサブだかわからない世界かもしれないといい始めた!!」
「どけカイル!大変だお前ら、監督生がその世界も否定してパロディ系かもしれないと!!」
「次は成り代わり軸だとかーーー!」
「ケーキバースとか意味わからないことをっ!!!」
「業が深すぎるだろあの子!!!」
「綺麗なお姉さんが喘ぐのが好きじゃねえぞ監督生!!!なんで性癖が多いんだ!!」
「は?ルイスの受けは固定??何を言ってるんだお前は…」




ドタバタと足音を立てて勢いよく入ってきた共進陣営の言葉を聞く限り監督生は思い当たる性癖が多すぎてキャパオーバーして倒れたらしい。あまりのことに寮長達を帰らせた教師陣は頭を抱えた。

この問題は『監督生性癖暴露事件』として俺たち教員の間でひそかに処理された。







問。結局どんな世界だったのか
答。ルイス先生が受けの世界でした(元の時空とあまり変わらなかった)

prev / next
目次に戻る









夢置き場///トップページ
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -