PTAが怖いんだっ…! | ナノ


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「普通の女の子なのな、あの子」
「生徒が見てないとはいえ、その態勢で酒を飲むのをやめろルイス」
「よくね?生徒が見てなければ俺はいつでも優しいルイス先生だよ」
「――はああっ、仔犬共が哀れでならんな。憧れの教員が猫かぶりで、PTAを怖がる小物だと知れればメンドクサイことになるだろうよ」
「ふふっ、そんな俺を受け入れてくれるクルーウェル先生が大好きだよ。俺は」




ねぇ?とその形のいい顎を指で撫でれば思いっきり腰に鞭が飛ぶ。あまりの痛みに、冗談なのにと呻けばやかましいと返される。知ってるってば、流石に俺もクルーウェル先生とどうなりたいとも思ってない。冷ややかな目線で俺を見下ろす彼にヘラリと笑って見せた。




「それにしても、最近やけに接触が多いんだよなぁ。生徒のさ。マジで、最近のPTA厳しいから近づかないで欲しいもんだ」
「その猫かぶりをやめてみればどうだ。」
「俺がぁ?このキャラのほうが楽だよ。人生も、教師としての仕事も、メンドクサイことはない方がいい。」




冷えたリキュールをそのまま飲み干して、唇の端から零れた雫を舐めとる。アルコールとクルーウェル先生の愛用する煙管の煙が混ざり合って夜の空気に溶けていく。




「お気に入りのコートに匂いつかない?」
「ココはベランダだろう。コートなら部屋の中だ。お前こそ、可愛らしいルイス先生が酒とタバコのにおいをつけてていいのか?」
「PTAに酒止める権利はないさ。煙草は俺のじゃないから、まあ、シャワーを浴びれば流れる」




まあ、それを生徒に言われても




「先生、少し嫌なことあってね…、ちょっとだけ、忘れたかったんだ、ごめんね?っていえばどうにかなる」
「世知辛い世の中だな。お前のようなのが教師なんて」




いつになく辛辣過ぎてびっくりだよ俺。
つまみを口に頬りこんで、ケラケラと笑う。




「そんな俺に付き合うクルーウェルも、変わり者だよねぇ」
「……お前の顔は、好みだからな。性格は無いが」
「酷い言いようだ」





でも俺もクルーウェル先生の顔は好きだよ。お互い、観賞用だね。




「お前がせめて女であれば、話は違ったんだが…」
「俺もそう思う。俺が女だったら人生イージーモードだったろうにね」
「国一つでも滅ぼして見せそうだ。恐ろしい」
「国どころか世界を手玉に取るかもよ?」
「やるのか?」
「面白くないだろ、それ」
「違いない」




「それで?どうやって手玉に取るんです?」
「「!!??」」




ビビった。気配もなく降ってきた声に対して戦闘態勢を取った俺たちを満足げに見据えたクロウリー校長に脱力する




「毎回驚かさないでくださいよ校長」
「いえいえ、何やら面白そうな話をしていたもので」
「否定はしないけれど、限度というものがあるだろう」
「ところでルイス先生。サバナクロー寮の寮長に押し倒されたのは本当ですか?」
「毎回どっからそういう情報持ってくるんですか??俺未遂ですよ」
「貴様が未遂というよりはキングスカラーが未遂なだけだろう。」
「PTAは嫌です」
「ぶれないですね貴方」




そういうところも貴方らしくていいと思いますけど。全く思ってないであろう口調で椅子に腰かけた校長が考え込みながらこちらを見据える




「もう少し指輪の精度を良くしたほうがよろしいでしょうか?」
「最悪自分のユニーク魔法でどうにかしますよ」
「貴方のユニーク魔法は少々刺激が強いでしょう。それ使われたら私もPTAの方に報告せざる得ないというか…」
「俺、絶対に自分のユニーク魔法使わないんで何も報告しないで大丈夫ですよ」




そんなに嫌ですか?
そんなに嫌です。




マジで嫌です。目と目で会話する俺らを見つめながら、呆れたように酒を飲むクルーウェル先生に数十分後追い出された。




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