PTAが怖いんだっ…! | ナノ


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監督生目線


 きれいな人を見た。朝日に揺れて輝く、稲穂のような髪にまるで透き通るような海を思わせる瞳を持つ人。端正な顔立ちはやさしそうで、にっこりと微笑み、落とされる声はどこか色っぽい。




「こんにちは監督生ちゃん、僕はルイス・エルヴァこの学校の数学教師だよ」




その見た目に違わず、可愛らしい口調で、どこか庇護欲をそそる様な声に「あっ、はいっ!」と席を立ち、答えればクスクスと笑われて頬が赤くなった。慈愛の色の乗る瞳が私を移して笑みを向けられる。何処かで「ハヒュッ」とか「尊い」とかいう声が聞こえたけれど、まさにその通りで、私だって、ここにいるのが私じゃなかったらそんな反応を取っていただろう。




「ちょっと君とお話ししたいなって思ったんだけど、時間は空いてるかな?」
「え、あ、えっと」
「急に来ちゃったから無理しなくていいよ」




はーーーーーっ顔がいい。

こてんと首をかしげて伺いみるような仕草が可愛い。間違っても逞しいとか男らしいとかいう印象を持てない人だ。守ってあげなくちゃ。それに私の予定まできちんと考慮してくれるなんてもはや完璧な人間では?

その美貌と性格に見惚れながら見つめ合っていれば、横を通るクルーウェル先生の「……哀れだ」という言葉とその何とも言えない表情の意味を知ることができなかった。

ニコニコとこちらを見つめて、目があえば「ん?」と蕩かせる様に瞳を和らげる。顔がいい…。




「ッ、次の時間はクルーウェル先生の授業があって、あの、だから避ければ放課後にっ…!」




ざわりとし教室の空気が揺れた気がして、顔を上げれば、エルヴァ先生が少しだけ考え込む様に唇に手を当てている。白い手袋から見える骨格がしっかりしていて思わずときめいた。可愛い可愛いと言ってはいたが、きちんと男の人なのだと理解して、顔が熱くなる。




「放課後、ねぇ…。……うん、いいよ。じゃあ放課後職員室においで」
「はい!ありがとうございます!」




次授業でしょ?呼び止めちゃってごめんね?と言った後に、エルヴァ先生はそのまま私の目の前から去っていくと、去り際にその場にいた生徒に手を振って消えていく。
か、かっこよくてかわいい人だったなぁ。男性にしては細い方かもしれないけれど、それでも女の私に比べれば全然しっかりしていた。…男子校に、ああいう人もいるんだ

トクントクンと動く心臓に、ああっ、と確信する、これは、これはっ







―――――アニメの推しに出会った感じっ…!




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