▼ もしも主人公が素の性格のままNRC教師だったら
授業の始まる鐘の音にと共に一人の教師が教室へと足を踏み入れた。光り輝く金髪の髪が歩みに合わせて揺れ、海を思わせる瞳が生徒に向く。端正な顔立ちは甘く、その美貌は一国の王子を思わせた。
生徒達の視線が彼に固定され、今までがやがやと騒がしい教室が一瞬にして静まり返ると、爆音が響く
「ルイス先生――――!!!」
「え!?次数学!?数学ですか!!??」
「やっべぇ、俺今日教科書忘れたかも!」
「ルイスセンセ―イ!テスト範囲どうなってますかーーー!!」
「今日もきれいですねセンセイ!!」
「やかましい、黙れクソガキ共」
「あーっ!!!先生の綺麗な顔から飛び出る罵倒がたまらないっ!!」
「先生!もっと!もっとお願いします!!!」
「今度マジフトの指導に来てくれるってマジですか!?」
「俺最近筋力ついてきたと思うんですけどうですかセンセイ!」
センセイ!先生!とまるで餌を得たようなひな鳥のような囀りに「あーあーあーあー!」と言いつつ耳を押さえる姿は大層大人げないが似合っていた。その姿にまた教室が湧く。そのうち「先生!先生!」という謎のコールにいやそうな顔をして、パァンっと出席簿を教壇に叩きつける
「やかましいコバエども!大人しく!黙って!座れ!!!今日は錬金術担当のクルーウェルが急遽出張のため俺が数学の授業を行う!急なことのため教科書忘れの減点はない。配るプリントを大人しく解くように」
めんどくさいという顔を隠さないところが素敵…と、誰かが零す。懲りていなかった。教壇に椅子を置いてその長い脚を組み、魔法でプリントを配る。絵になっていた。けれどそれで授業がスムーズに進むかと言われれば違うだろう。なんせここはナイトレイブンカレッジ。その生徒は個性の際立ったものばかりだ。
「先生」
「黙れ」
「先生」
「座れ」
「先生、こちらの方程式が少し」
「教科書を開け」
「困りましたねぇ。応用が利きません」
「困ってないのに困ったように笑うな」
事あるごとにセンセイ先生とじゃれつく生徒を睨み、三十分立ったあと、彼は黒板に公式を描きながら解説を行う。ちなみに生徒全員だらけきった顔で授業を受けていた、なんせ顔がいい。その良い顔から暴言が飛び出すギャップがたまらなかった。何なら彼は面倒見もよかった。もはや沼だったと生徒は語る
授業もわからないなら手を挙げろというので遠慮なく手を挙げる。おかげでレオナ・キングスカラー以外にこの教科を落とした生徒はいなかった。わかりやすい。
授業の終了を告げるチャイムが鳴る「今日はここまで、来週の数学の時間は錬金術になるので白衣を忘れないように」という言葉にブーイングが飛んだ。つまり来週はルイス先生の授業がないということだろう。全力でブーイングを飛ばした
それをしばらくは冷たく冷めた目で見ていたルイスが不意に、目を伏せて小さく
「俺、そんなこと言われて、困っちゃうな…」
と、庇護欲をそそる様に言い放つ。単純な男子生徒は黙った。以上である。それは卑怯だろうと胸を押さえながら死んでいく男子生徒達には目もくれず、彼はそそくさと教室を後にし、無情にも扉を閉めていく。慈悲などない。
主人公
素を晒した方がめんどくさいというのはこういうこと、猫被ってた方が生徒を扱いやすいらしい。ちなみにこの世界軸の主人公はPTA怖いけどそれよりも自分の貞操が大事な子。場合に応じては猫も被れる有能な教師です
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