PTAが怖いんだっ…! | ナノ


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 スカラビア寮の生徒がオバブロした、最近やばいなと思う。四件目ということで急遽ホリデー休暇を返上し、PTA総会の方に呼び出しをくらったのは学園長とクルーウェル先生だったらしく、安堵のため息を零してしまった。いやマジガンバ☆。他の教員もホリデー返上で急遽学園に収集されたけど、PTAからの呼び出しをくらわなくてホッとしているのだろう。各々が自国の土産を片手に茶を啜っていた。

 あと数日あるホリデーを学内で過ごさなければいけないのは癪だが、まあ仕方ないだろう。だって生徒のオバブロなんて本来なら一件あっても大事件なのに、今年は四件も発生しているわけだ。やはり全寮制ということでストレスがあるのだろうか、とか、何をして魔力をそこまで使ったのか、だとか各々がだらけながら見解を述べる




「ルイス先生はどう思いますか?」
「俺?俺は面倒ごと増やしてんなクソガキ共としか思わないけど」
「いや、それは別に聞いてない」
「いや、だってさ。今までオバブロしてきた生徒の特徴なんてオクタヴィネル寮長以外全員家族教育環境の問題だろ。そこを俺らがどうこうしようなんて思うのがお門違いなんじゃねえの」




 勝手にコンプレックス刺激して、勝手にオバブロしてるだけだろ全員。それに




「俺ら教師の考えるところはそこじゃねぇよ。なんでソレが起きたかじゃなくて、どうやったら被害を最小限に抑えるか、だ。薄々気づいてると思うが、こんだけオーバーブロットが起きるってことはまだ起きるだろうよ。できることなんて精々注意喚起。」
「教員としては起きることを未然に防ぎたい考えだが」
「だーかーらー。人の心を好きに操れないように俺らがあいつらのオーバーブロットを止められねぇの。この中でオーバーブロットした現場にいたやつがいるか?精々今呼び出しくらってる学園長くらいだろ。俺らの目の届く範囲で起こるなら対策しようもある。でも今までの四回は目の前で起きてねぇし、どっかのオバブロに至っては学園長がいたのに起こったんだぞ」




いまだ死者が出ていないのが不思議なほどに。




「俺らのやるべきことは注意喚起と何かあったときに取れる連絡網の確保じゃねぇの?」




シンッと静まる職員室に、俺はため息をつきながら配られた土産に手を伸ばす。




「事前に防ぐことだって大切だ。だけど、現状それができてない。それ以前に問題なのは監督生とあのグリムとかいう魔獣。彼女たちが来てから学園が変わってる。悪い意味でも、いい意味でも。」
「…それは、確かにそうだが…」
「そしてあの監督生がいるところがいつも事件の中心だ。監視するしかないんじゃないのか、生徒の行動も、彼女たちの行動も」




 そこまで手が回らないのが現状だが。教師も教師でいろいろ考えているのだが、予想の斜め左くらいから「オバブロしました!!」なんて報告されてもできることなんて少ない。学園長はこの状況に危機感がないのか。あまり対策しようとはしないが。




「…頭が痛いことですな」
「生徒の意識改善にもう少し力を入れてみればどうにかなるのでは」
「君が生徒の頃はどうだったかね、ルイス君」
「教師なぞクソくらえ位にしか思ってませんでした」




 ため息をつく彼には悪いが、俺は本当にそれくらいしか思っていなかった。正直殆どの生徒がそうじゃないかとも思ってる。

 今年のホリデー明けも荒れそうだと教員同士で話し合いながら、俺は欠伸を一つだけ零し、目を閉じた



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