PTAが怖いんだっ…! | ナノ


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伏せられた海色の瞳、魔方陣から流れる魔力でたなびく稲穂のような金髪が美しく、生徒たちは「ほぅ…」とため息をつく。ルイス・エルヴァ。数学を担当するナイトレイブンカレッジの教員は彼らにとって癒しであり、アイドルであった。王子様じみたその美しい容姿に穏やかな性格。神は彼に二物三物与えたに違いないと彼らは本気で思っている。

 機会があればお近づきなりたいとこの学園の野郎どもは全員思っているはずだ。かく言う自分だって思っている。そんなみんなのアイドルであるルイス先生は生徒のリクエストであるバイコーン召喚の儀を行っており、生徒の視線を集めていた。

 バイコーン。処女を嫌う獣。その実力は確かであり、プライドも高い。ルイス先生がケガをしないかが心配だったが、彼がケガをするかしないかは先生の技量にかかっているのだ。そう、このバイコーンを召喚することによって先生がそもそも乙女なのか乙女じゃないかを知りたいと思うのは男として当然だった。

きっと乙女だと信じている。何より乙女であった場合、バイコーンは男でも女でも襲う。あわよくばルイス先生の乱れる姿が見れるのではないのかと彼は心躍らせた。

 そして運命の瞬間は訪れる。ここからは契約に触るからとクルーウェルが防音結界を張る。召喚されたバイコーンに対し、ゆっくりとほほ笑み、お辞儀する姿は気品があり尊い。何より顔が良かった。バタバタと倒れていくのはルイス先生のファンクラブだろうか。けれど俺は倒れるわけにはいかない、なぜならルイス先生が乙女か乙女ではないかを確かめる必要があるからだ。

 不意に、バイコーンの目つきが鋭くなった。今にも舌打ちしそうな顔である。ふぃっとルイス先生から目をそらすバイコーン。困ったように微笑むルイス先生。処女であった。生徒は沸いた。そして、素早く教壇から飛んできた鞭とチョークに沈んでいく。鬼の形相をしたクルーウェル先生の形相に男たちは静かに座り、机の下で拳を握る者、尊さに涙を流す者と様々の反応を示した。















…だからこそ見ていなかった。先ほどまでふてぶてしくルイスを見つめていたバイコーンの青ざめた顔とご自慢の尻尾を股の下に隠す仕草。そして、いつものように美しい微笑みを浮かべたルイスがいたことを


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