▼ おまけな番外編
もしもこの世界に悪女主が登場したら
なんで呼び出されたんだろうと首を傾げつつ、ルイスは廊下を歩いていた。放課後、グラウンドを照らす夕焼け色の空はひどくきれいで、うっとりする。手紙で指定された教室に入れば、そこには今年、イレギュラーな女子生徒がその場に立っていた。ちなみに二人来たうちの一人である、ピンク色の髪をかわいらしく二つに結んだその少女は、怪しげな微笑みを浮かべて立っていた。
「えっと、何か、用かな」
「先生。先生って邪魔ですよね?」
なんだって???なんで俺、今、罵倒されたの???脳内に宇宙が広がった。そもそもこの場所にあまりいたくない。なぜなら生徒と放課後二人っきりなんて体制が悪い。俺は何もしてないです。
考 え込んでいる間に何やら彼女が言っていたが、そんなものを耳に入れるほど、彼は暇ではなかった。そしてふと、顔を上げればブレザーとシャツのボタンを丁寧に外して、前をはだけさせる女子生徒の姿。嫌な予感がする
「邪魔だから、先生には社会的に死んでもらうことにしますね」
次の瞬間、絹を裂いたような悲鳴が学園中に響き渡る。
図ったようなタイミングでこちらにかける足音。勝ち誇ったような女の笑みに、俺は考えるでもなく、その体をこちらに引き寄せて地面に倒れ込んだ。俺が下で、彼女が馬乗りになる様に、である。何処か呆然としたような顔を視界に収め、倒れたショックではだける服をそのままにちょうど開いたドアを見た。
―――ああ。そうか、今日は寮長会議だ。
ならばやることは一つ
震えるように腕で顔を隠して、急いで涙を流し、庇護欲を誘う様、声を震わせた
「やだっ…、こわいっ…」
「えっ」
私何もしてない。という彼女の声が聞こえた気がするが、俺は生徒に手を出したくそ教師としてPTAに報告されたくなかったし、何ならあちらか仕掛けてきたのだから遠慮なく、涙にぬれた瞳を彼らぬむけた
「いたいのっ、たすけて…」
「な、なにしてんだてめぇええええええっ!!!!」
俺の言葉を合図にキングスカラーの怒号と寮長たちの悲鳴が響き渡った。「えっ、ちがっ」と言い募る女子生徒は彼らによって拘束され、俺はシェーンハイトやアーシェングロッドに慰められていた。思った以上にうまくいきすぎてビビった。いや、とっさの判断と言え、俺はいい仕事をしたのでは??
寮長や、学園長たちが俺に何を言っているのかわからなかったけれど、とりあえず助かったからいいかと安堵のため息をつき、今日は厄日だなと先ほどまでオレンジ色に輝いていたグランドを、俺は見つめた。
先生は自分が危ないってなったら迷わず保身に走るよってことを書きたかっただけ|д゚)
prev / next
目次に戻る