PTAが怖いんだっ…! | ナノ


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「あっ、ごめんね監督生ちゃん!おそくなっちゃたぁ」
「せ、先生!?あの、その荷物は…」
「これね、監督生ちゃんに足りない物って考えたらいっぱいになっちゃて…。あ、こういうのはお部屋に入ってからお話ししようか。ごめんねぇ待たせちゃって、あ、クルーウェル先生〜。」




教師寮の前で小さなトランクを引く監督生ちゃんとペットの猫を目にして声をかければ、驚いたような顔に買ってきてよかったなと、勝手にほんわかとして、近くを通るクルーウェル先生を呼び止める。おっと今、メンドクサイ奴に声かけられたって思ったな?けれど横にいる監督生ちゃんを見ると顔を顰めてこちらに歩み寄る




「ルイス。さすがにソレは犯罪だぞ」
「あはは、そんなことしないよ。失礼だなぁ。あ、これ持ってクルーウェル先生」
「お、おいっ!」
「ちょっとだけ頑張って。僕、部屋開けなきゃ。」




 荷物をクルーウェル先生へと押し付けてから、部屋の鍵を取り出し、開ける。少しの時間だったけれど、クルーウェル先生は気に食わなかったようで、今でも噛みつきそうな顔でこちらを見ていた。待って怖い。とりあえず、と、監督生ちゃんにクルーウェル先生を部屋に上げ、説明すれば、頭を抱えた彼に、だよねーとココアの入るコップを手に俺は同意した




「まあ、確かに、他の教員に預けるよりは貴様のほうが安全だな」
「でしょ?」




 俺、伊達に日々PTAにおびえてないから。そんな俺の心情を察したのか、横が私の部屋だ、何あったら駆けこんで来いと、監督生ちゃんに言い残し、彼は颯爽と部屋に戻っていった。ちなみにクルーウェル先生の部屋には犬が数匹いるのだが、それを教えなくてよかったのだろうか。




「そうそう監督生ちゃん、生理用品って羽付きの夜用でよかったの?」
「ぶっ」
「僕、そういうの詳しくなくてね。あと、可愛い洋服とか、下着とか店員さんに見繕ってもらって買って来たよ!あ、下着は中見てないから、安心して?」
「あ、安心できる要素が、どこにも…」
「無いと困るよね?」
「もちろんでございます」




 ひぇっ、この推し圧がつよい…。小さく悲鳴を上げる監督生ちゃんに買ってきた荷物を手に持って、リビングのすぐ横にあった、元、物置部屋に案内する。一応ベットや机椅子に、カーペットと箪笥を一通り運んでみたものの、女の子の部屋にしては味気ないだろう。間取り自体はそこまで悪くはないと思うので、我慢してほしいが、ちらりとその子を見れば、きらきらとした瞳を部屋へ向けていた




「い、いいんですか!?」
「いいとも。オンボロ寮の修繕が終わったら好きに持って帰っていいからね」
「ありがとうございます!」




 ここまで喜ばれるとやってよかったと思うよね。 じゃあ、僕はサイズの調整とかあるだろうから部屋からは出るね。と、荷物を置いて立ち去った。サイズ、合うといいけど…、最悪、下着とか服自体が持ち主にフィットするような魔法をかけてあるらしいので、大丈夫だと思う。ちょっと高かった。まあ仕方ない。手に持ったコップの中身であるココアを飲み干し、窓から外を見れば、月を後ろに背負った学校が見える。さて、もしもこれがバレた時、PTAへの生贄には校長を捧げよう。俺は悪くねぇ

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