PTAが怖いんだっ…! | ナノ


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「面貸せくそ鴉」
「か、貸す前に人の襟首、掴むのはどうかと…」
「んなことはどうでもいい、校長、あんた生徒を、しかも女の子を、雨漏りのするほどひどかったオンボロ寮に泊めるってのはどういう了見だ、ん?」




 このバカラス、そんな情報がPTAに入った日には吊るし上げられるんだぞ、お前だけじゃなく俺らも!!異世界から来た親御さんもいないか弱い女の子。これだけでも結構なパワーワードで学園の不手際なのに、生活費もまともに出さず、生活日用品も足りてない彼女に雨風しのげる場所を提供したかと思えば雨風しのげてないときた、これはやばい、何が私優しいので、だ。やってることすっぱ抜かれたら俺の首が飛ぶ!




「く、くるしいですよ」
「いいか、校長。監督生とそのペットは俺が暫く部屋で面倒見る。」
「え、それこそすっぱ抜かれません?」
「手を出さなきゃすっぱ抜けるもんも抜けねぇよ」




 この話を監督生ちゃんの方にしたときは目を点にして、顔を赤くすると「あ、実はそろそろ女の子の日で…、一緒に住むのは恥ずかしいんですけど…」と言われたが、生理って人によってはクッソ重いと聞く。なおさら雨がしのげない場所にいさせるわけにはいかず、今現在強硬手段に出ているわけだ。




「認められません。そもそも年頃の男女。監督生さんの方はこちらで…」
「校長」
「はい?」





「お願い」




 俺ができる全力の媚売りであったことをここに示す。自慢ではないが、俺は顔がいい。それはそれはべらぼうにいい。あのクルーウェル先生にも、ポムフィオーレ寮の寮長にも劣らないほどには整っていると自負している。しかも全力で可愛いやらかっこいいやらの中間らへんでいい感じに整っていて、この校長が俺の顔が好きなことも知っている。ちょっとだけしおらしく眉を下げ、ダメ?っと上目遣いで問いかければ「ヒェッ」という声に、首まで傾げたし、甘えたようにもう一度言った




「僕、校長先生におねだりしてるんだけど、聞いてくれないの?」
「か、顔がいいことをわかってやってますね貴方っ!」
「だめ?」
「ぐっ…!」
「何くよくよ悩んでんだよ、早く頷けバカラス」
「あああああっ…!!わかりましたっ!わかりましたよもう!絶対に手を出さないでくださいよ!いいですね!」




 私が、私がそういうギャップに弱いって知っててやっているでしょう貴方!という言葉に、当然と頷き返せばまた「あああああああっ!」と叫んで蹲る。校長性癖歪んでるよね、猫被ってる人間が自分の前で猫はぎ取るの好きだもんね、ド変態じゃねぇか気持ち悪い。こんな校長だが別に性的お付き合いを迫られたことはないので、倫理は持ってるらしい。またはマジで好みってだけで恋愛対象に入っていない可能性。

 まあ、俺は利用できるから自分の顔利用しただけだけどな。さてと、買い物行こう。メモ帳に目を通しながら、明日の午後まで授業がないことを確認する。そしてスマホを開き、ホテルの空き情報を確認してから自分の部屋に向かった。まあ、使ってない一室あったし、そこでいいか。もう一度ホテルの空き情報確認したがあいにく様、今はどこも開いていないらしい。

 生理が近いとも言ってたし、あの監督生が生理用品を所持しているとは思えない、そもそも男子校のサムもさすがに生理用品は扱っていないだろう。




「………」




 マジでこの学校、男子校だから当たり前だけれど、監督生が生活するにはきつすぎる環境だろう、体育の授業の時、着替えはどうしていたのだろう。…異世界人を保護したのに異世界人が生きていく環境を作れなかった名門、か。



――――ことが大きくなる前に回収できてよかった…!



 本当に回収できてよかった。一歩間違えば俺は何も知らずに糾弾され、知らなかったことの罪に問われ、なんで教師が生徒のすべてをわかっていないんだと意味の分からぬお叱りを受けるところだったわけだ。教師職というのは半分理不尽で出来上がってると思う。

 外出用のコートを羽織り、学園の外にある店へと足を運ぶ。そこでツナ缶と生理用品、…羽付きと無しって何が違うかわからないけど、とりあえず羽付きを買って、…夜用とか昼用とか何?大きい夜用でも買っておこう。その際に女性の下着コーナーが目に入って思わず足を止めた。…そういえば俺、監督生の服、制服しか見たことねぇな…??もしかして支給された下着や私服も少ないのか…??

 スッと、体中の血の気が引く音がして、監督生の体系を思い浮かべると、笑顔を作って店員に話しかけた。マジであの校長は後で絞めるし、今回の出費は校長から経費として落としてもらおう。





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