おねショタ(概念)番外編 | ナノ


▼ 1

―――血鬼術…それは人知を超えた力である。鬼の首領、鬼舞辻無惨の血によって鬼になったものが一定数の力を身に着けた時に発動するそれは多種多様であり、中にはくだらないモノから柱をも苦戦させるものまである。

さて、その中で鏡柱こと、藤野鏡子にかけられた血鬼術は一見意味が分からないけれど、実に実用性あふれるものだったと言えるだろう。血鬼術の対象を無力な時代まで遡らせる能力、小難しく言ってしまえばそんなところだが、簡素に言えばただの幼児化の能力である。



―――そう、ただの幼児化の能力である



そうなるはずだったし、鬼を斬れば戻るはずだった。戻るはずだったのだ、一緒に任務にあたった水柱・冨岡義勇はそう重々しく告げてから己の羽織の中に隠れていた金髪碧眼の幼女をそっと御館様と柱の前に差し出した。

幼女である。この完成体(※17歳)は将来、自分たちの頭を悩ませ、何度も柱会議にかけられ、ちょっと人より特異な性癖()を持つ、未来の柱の幼い姿に伊黒は胸を抑えて死んだ。




「ぴっ!!」




何だ今の鳴き声は、と音柱が呟いて音の発生源を見れば、また羽織の中へと戻った幼女の姿がある。恐る恐るとこちらをのぞき込む姿は小動物のそれに近く、庇護欲を注ぐ。けれどそれ以上にもっとヤバい現実がそこにはあった。何度も言う。姿は幼女である。そして幼女は幼女でも美ロリ(100年後の言葉で)であった。将来どうしてああいう感じになったのかわからない程度には美ロリ(清楚系)である。

俗に言うハイカラさんと呼ばれる、淡い水色の衣服に身を包み、少々大きめの白い羽織を着ているその姿に柱達は生唾を飲んだ。


外の国の色を持つ髪と瞳は酷くキラキラとしているし、頬は白く、緊張しているのか少しだけ薔薇色に染まっている。完璧だった。都会に数度行ったことがある柱達が口をそろえてショーウィンドウとやらに飾ってある西洋式の人形に似ているというくらいには可愛らしかった。西洋の人形と違い、あの無機物らしい不気味さはないので、なおさら可愛らしく美しい生き物だったと言える。つまり



―――そういう性癖()の人間から見ればたまらないのが鏡柱、藤野鏡子(の幼少期)だった



知らないところに連れてこられ、唯一近くに居たという冨岡しか頼れる人間がいないためか、ずっとその背中に隠れる猫のような(となると冨岡は木ということになるのだが…)存在に死んだ伊黒はともかく、柱達は興味津々だった。特に女性陣は母性を擽られるものがあったようで、懐から取り出した桜餅やらそこらへんを羽ばたいていた揚羽蝶やらを指に捕まえて幼女に見せている。そしてその瞳を輝かせて手を伸ばしては引っ込ませる藤野(幼女)に何人かは「ん“っ…!」という言葉と共に唇を噛んだ。つぅっと口の端から血が流れて、また「ぴっ!」と泣き冨岡の後ろに隠れてはこちらの様子を伺う姿が本当に猫のようで、ほっこりする。ちなみに動物系が苦手な胡蝶もほっこりしつつ、もう一度揚羽蝶を見せ、己の腕の中へと誘導した



prev / next
目次に戻る









夢置き場///トップページ
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -