おねショタ(概念)番外編 | ナノ


▼ 「モブ男と良い雰囲気になっているのを見て嫉妬に駆られる柱達」

その光景は一部柱達に酷い衝撃を与えた。

あの鏡柱が知らない男と歩いているのである。いつものように露出の高い服ではなく、女学生のように袴を履き、その豊かな小麦色の髪を可愛らしい紅の赤椿をモチーフとした簪で括るその姿で、ニコニコとお淑やかに笑いながら大通りを歩く。見知らぬ男と共に。


その場面を見ていたのが音柱・宇髄天元とその嫁・須磨であったことも不幸の始まりだった。


まず、元忍とくの一は彼らを尾行した。出店を回り、物を食べ、男が簪屋で藤の花をあしらった紫色を基調とする簪を彼女の髪に近づかせて色を見てから二人で笑いあう。

男の穏やかな顔立ちと、服の上からでも分かる鍛えられているであろう身体に宇髄は「いい男だよな」と頷き、そのまま報告に走った。勿論柱達にである。

ココで勘違いしないでほしい事として、宇髄はほぼ善意での行動だった。年齢不詳とはいえ、己の可愛らしい妹分が良さげな相手を見つけてデェトをしていたのである。これを喜ばない兄貴分がどこにいるというのだろうか。

そして報告を受けた煉獄は笑顔で固まり、富岡と鱗滝の二人水柱は鮭大根と白米の入る御椀を落とすと慌てたように宇髄が教えた簪屋へと走って打ちひしがれる。酷く、良い雰囲気だった。

不死川は「そうか、まあ、子を孕むことで被害減るなら、まあ…」とどこか煮え切らぬような返事を返し、岩柱は「どんな女子でもいずれ旅立っていくのか」と涙を流し、伊黒は何も答えなかった。答えなかったけれども自分の日輪刀を研ぎ出したので、宇髄はそっとその場を須磨と共に後にする。



だからこそ、こういう風になるとは思わなかったのだ




「藤野!一緒に飯に行こう!!うまい所を知っているぞ!」
「……簪は、まだ早いが、櫛を…」
「お前に似合うと思って帯を買ってきたんだ、付けてはくれないだろうか」

「ええ、何この柱共、こわ…」
「ええい!散れ!鏡子に近づくな!」




食事に誘う煉獄に対して伊黒と約束してるからと首を振る藤野に、物を送る水柱達を袖にする伊黒。酷く平和な光景のようで、誘う柱達にはどこか危機としたものを感じた。伊黒にかばわれ、後ろからヒョコッと顔を出す藤野はあいわからず露出度の高い服を着用していた、いつぞやか「あ、これアレだ、加賀(※アズレン)だ。」とつぶやいていたものである。隊服をダメにしてもしなくても藤野の服は前田によって増えていくので、そろそろどうにかせねばいけないなと不死川は思う


不死川は基本的に藤野のことをたまにアホだし性癖はヤバいかもしれないが、比較的に柱の中では仲が良い方だと思っている。だからこそ、今回の報告を聞いた時もまあ、いいんじゃないだろうか、被害が減れば、位の考えだったし、あの必死になっている馬鹿ども(柱)の中に入るつもりはなかった。けれど、良い仲の男が出来たならば報告は彼女の口から欲しかったものである。




難しそうな顔で唸る男共を見つめ、胡蝶はため息をついた。柱の中でも可愛がられている(※その可愛がり方が一般的かどうかは置いておく)藤野が何も言わずに男を作ったことに複雑だった。

恐らくあの男共の反応は嫉妬という感情よりも焦りの感情が強いのだろう。また、目撃したのが宇髄であったのは幸いだったと思う。最初にあの必死になってる男共のどれかが目にした時が一番怖いのだ。


慌てふためく男たちを冷たい目で見つめ、胡蝶はやんややんやと騒ぐ輪の中から藤野を強奪し、蜜璃と共に『女同士の話がある』といいくるめて連れ出した。別に話はない。あの男共みたいに醜い嫉妬などしない。そもそも立ってる土俵が違うのだ。私や甘露寺さんを差し置いて見知らぬ女にとられたなら嫉妬は沸くだろうが、異性にわかせても仕方がない。そのことを理解する胡蝶がこの中で誰よりも大人だった。

























「ひ、ひどい目にあった…」




騒ぎ立てられた次の日、私はぐったりとしながら甘味屋の椅子の上であたたかなお茶を啜る。渋みが口に広がり、それを緩和してほろほろと溶けてゆく砂糖菓子がおいしい。今日も非番なので完璧に私服である。私服はさすがに露出度は控えめで、小さいころ師範の下で着用していた服に似ていた。普通、柱なら程遠いまったりとした時間に一つの声が入りこむ




「姉弟子ぃー!稽古をつけるって約束だろ!?なんでここにいるんだ」
「おお、弟弟子、二日ぶりだね」




にこにこと笑い、当たり前のように甘味処の代金(私の分)を支払う弟弟子の頭を撫でてやれば、顔を赤くして手を跳ねのけられた。照れるな照れるな。最終選抜をこの弟弟子が突破していたとは聞いていたけれど、いやはや、ずいぶん大きくなった。最後の一口をお茶で流し、横に置くと、そのまま立ち上がった




「あっ」




ふらりと吐きなれていない下駄が変な方向に曲がり、体の軸がずれて体勢が崩れる。とっさの判断で受け身を取ろうとした瞬間に背中に回された体温に、おやっと目を見開いて、抱き留めるように支えた弟弟子を見上げた




「い、いっつもあんな痴女の塊みたいな服着てるからそうなるんだよっ…!!」
「失礼すぎるぞコイツ」




久しぶりに下駄履いて感覚掴めなかっただけだし。ぶつくさと文句を言いつつ、その手を支えに態勢を整えようと、足に力を入れた


刹那、今度は横からかっさらわれるように抱きしめられ、視線の端には半々羽織が見えるとともに何かに包まれるような感覚


離れたところにいる弟弟子の姿。誰かが私をかばうように前に立つ
混乱する私の耳には悲痛な叫びが拾われた




「……とうとう幼児だけじゃ飽き足らず柱にまで手を出したのか姉弟子ッ!見損なったぞ!!無言で目で訴える人間をあれほど幼子と認定するなと師範にも言われただろっ!!」










「「「姉弟子…???」」」












「まって三人分くらい聞こえた」




後から聞いたところ、私を抱きしめていたのが義勇で、弟弟子からかばうように立っていたのが煉獄と錆兎だったらしい。お前ら何してんの。上からは伊黒がのぞき込み、物陰からしのぶと蜜璃の姿。ねえ、本当に何してるの君ら。






――――後日、誤解を解いた弟弟子が折り菓子をもって各々の柱にあいさつまわりをしにいったことを私は知らない







モブこと弟弟子

姉弟子のことは尊敬してるけれどいろいろ迷惑かけてるんだろうなって思ってる。迷惑かけられてる方だとはつゆとも思わない。話には出てくるけど本人が出てくるのは最後。伊黒に主人公の幼児趣味の誤解を与えた一人




柱の皆さん

嫉妬がテーマだったけど、たぶん嫉妬よりも焦る。でもいちゃつく姿を見るともやっとする。主人公の休日を監視してたやべー奴ら。犯罪一歩手前だと誰も教えてはくれない。他数名が止めるのも聞かずに出て行ったのはガチ勢の三人。冨岡さんが一番早かったので主人公を囲った。


煉獄≪だめだぞ、藤野は煉獄になるのだからなっ!
冨岡≪良い香りがした…
錆兎≪義勇の方が早かった。


伊黒≪弟弟子だと分かっていたため静観していた。お前ら距離近くないか??あと冨岡は早く放せ
行冥≪良いことだ、相手が見つかるのは【※任務中】
不死川≪被害が減るに越したことはないと思うがな【※なんだかんだ言いながら主人公を見守ってた】


胡蝶≪まったく、この男共は…
蜜璃≪嫉妬する皆も素敵だわ
時透≪………?

prev / next
目次に戻る









夢置き場///トップページ
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -