▼ 主人公と煉獄さんで甘めの話
「………」
「………」
「………」
「………」
「……………うらやましいな!」
膝にの上で日向ぼっこをしていた猫(トラ柄)がビックッとした。ちなみに私もびっくりした。なんだよと言うようにそちらに目線を上げれば、こちらを見下ろす渦を巻いたような瞳と目が合う
「煉獄、何?」
「うむ!」
「うむ、じゃなくて、あっ…」
煉獄に言葉を投げかけようとした瞬間に膝の上に居た猫が一鳴きして脚の上から退いた。何気に暖かくて好きだったのだけれども…。酷く残念に思ってため息をつけば、少々派手な音を立て煉獄が私の横に座る気配。
それには反応せず、先程鎹烏が運んできた手紙を受け取る。差出人は横にいる男の弟君だった。ふむ、ここで読むとまた何か言われそうだな…。
「千寿郎からか?」
「違う」
「しかし煉獄家の紋様があったぞ?父上が手紙を書くとは考えずらい」
「ちがう」
「しかしなぁ、俺でもはないぞ」
「違う。手は出してない」
「足は出したのか?」
「……」
「千寿郎に惹かれるのもわかるが、さすがの俺も怒るぞ…?」
「おいこら何を勘違いした。だから嫌だったんだよ文通みられるの」
何度目かのため息をついて、見られたしバレたのならしょうがないと手紙を開ければ、何か落ちてきた、藤の紋が刻まれた巾着袋を手に取って鼻を近づければ、わずかな藤の香。送られた手紙に書かれた文字を追えば、千寿郎君の年にしてはしっかりとした文筆で「気持ちばかりですが、どうぞ受け取ってください」という感じに書いてあって思わず口元を抑えた。可愛いな本当に
「煉獄」
「む?」
「気分がいいから膝枕くらいはしてあげる」
君の弟に感謝して。おねショタ()のお姉さんのムチムチした膝を貸してあげるよ。はー、それにしてもこんだけ純粋でかわいらしい弟を持ってる煉獄が妬ましい。私の弟弟子なんか反抗期へと突入したのか実家(師範)の下に帰ってもろくに口もきいてくれず、しまいには塩を投げ、帰る際に「次の便りが牢へ入れられたなんて嫌だからな」と憎まれ口をたたきだすクソガキである。帰るたびに露出が激しくなる隊服に、羽織を投げられるのはもはや恒例行事だった。
己の弟弟子を思い出して遠くを見つめていれば、煉獄がこちらをじっと見つめる。何ですか、何見てるんですか、どこ見てるんですか
それはいったいどういう感情の顔なのか、何を考えてるか分からない煉獄から距離を取れば目に見えない動きで肩を掴まれると引き寄せられた。勢いにしては軽い音で煉獄の胸へと寄りかかるような形になり、混乱する。何が起こったのだろうか
「うむ!男として藤野の誘いはうれしいが、やはりこちらの方がいいな!」
男として!
なんで二回言ったし。
酷く、寄りかかるような態勢が不安定で、数度位置をずらして安定させる、けれど、安定しない。バランスがあんまり取れないんだけどな、遠くの方で小さな子供のきゃらきゃらとした声に耳を貸しつつ、吐息を吹きかけるように煉獄の耳にささやく
「抱きしめて」
「よもっ!?」
「この姿勢は腰に来るし、何より寄りかかにくいの。膝にのせて抱きしめてもらった方がいい。」
「よ、よもや…。君はそういう事を言うのだな」
「満足したらなら私はきよちゃんたちのところに行きたいんだけど」
「犯罪か…?」
「なんでもそっちにもっていくの、そろそろやめて」
いきなり真顔になった煉獄に私は顔を覆う。そのすきに身体を持ち上げられて膝の上へと落とされた、横抱きなのが大変解せないが、まあ、さっきよりはましだろう。トクトクと聞こえる煉獄の心音に知らずに瞼が下がりそうになる
「眠いのか?」
「そうだね、眠いかな」
「まあ、良い天気だしな!」
「そうだね」
雀の鳴く声も、善逸君の叫ぶ声も聞こえるけれど、それ以上に今は眠い。
――――数時間後、いつの間にか『あの』態勢のまま眠っていた私達を見つけたしのぶが、私を抱きしめ眠っていた煉獄から引き離し、私に雷を落とすことになろうとは、まどろみの中で息をする私は知らなかったし、煉獄は伊黒に殺されそうになっていたなど夢にもおもわなかった
煉獄杏寿郎
まさか想い人と弟が文通していたとは思わなかったが、これをきっかけに主人公に近づければいいなと思っている。最初の「だきしめて」にはめちゃくちゃ混乱したし、膝枕は正直堪能したかったけれど、男としては抱きしめたかったと供述している。結構主人公は無防備なところがあるからどうにかしてほしい。
主人公
特に何も考えてない
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