おねショタ(概念)番外編 | ナノ


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「どどどどど、どうしようしのぶちゃんっ!!」
「え、甘露寺さん?どうしたんですか、鏡子ちゃんは…」
「それがいないのっ!甘味屋のお手洗いに言ってた瞬間に消えちゃってて…!」




どうしようと涙を流す蜜璃の目尻に布を押し当て、涙をぬぐいながらしのぶは困ったというように眉を寄せた。あのような容姿の鏡子(幼女)である、人攫いに攫われてもおかしくないとは思っていたが、まさかこんなに早く来るとは予想していなかった。運が悪いことに初日から目をつけられていて、連れていたのが蜜璃だったために相手も行動を起こしたに違いない。どうせ七日もたてば元の姿に戻って帰ってくるのだが、それでもまだ心は幼女()である彼女は心配だ。遅かれ早かれ自力で戻ってきそうではあったが。まあ、しかし




「二日後、伊黒さん担当の日でしたね。どうしましょう、あの人、柄にもなくはしゃいで…」




どんな藤野さんでもいいように着物(清純)を買いそろえていますもんね。




『いいか胡蝶。確かに小さな鏡子でも俺は全力で甘やかすが、俺は俺の見ることのできなかった三年間(やべぇ成長期)の鏡子の成長を見守りたい。何があったのかを、知りたいんだ。わかるか』
『わかりませんよ気持ち悪い方ですね』




本当に気持ち悪い方ですね。だが確かに、あの幼女がどうのようにしてああなったのか、胡蝶も知りたかった。いや、違う、問題は…




「伊黒さんが任務で本当に良かったですね」
「のんきなこと言ってる場合か!探すぞ!」
「あら宇髄さん、どこに行かれるんですか?まだ治療が終わってませんよ。大丈夫ですって。甘露寺さんや私は怒られませんが精々あなた方が大目玉喰らうだけです」
「それがド派手にやべぇんだろうが!!!」




宇髄ももちろん幼女のことは心配している。ただ、あの蛇柱の怒りが絶対に甘露寺に向くことがないのはわかっていたし、誰に向くのかといえば、任務に行く前に脅された自分か水柱達か風柱であるのは想像にたやすい。

その怒りが「成長する妹弟子」が見れなかっただろうふざけるな死ねという結構理不尽なものであることも焦る要因の一つだったといえる。




「とりあえず鎹鴉集めて伊黒以外の柱に伝令飛ばせ!!甲以上の隊士にもだ。いいか!伊黒にばれるなよ!!」
「必死ですねえ」
「ごめんなさい!私が目を離したばっかりにっ!」


















さて、そんな柱達がバタバタと騒がしい中で、幼女こと藤野鏡子は目の前で血を流して倒れる男どもを見下ろして首をかしげていた。はて?なぜ幼女は攫われたと思った瞬間に鬼に保護されているのだろうか。

己を腕に収めて楽しそうに頬をつつく手を掴み揉みながら幼女は考えた




『へへ、こいつぁ上玉だな』
『高く売れるぜ』




と、のたまった瞬間に下種共は首から血を流して死んだ。そんな彼らの後ろから現れたのは虹色の目をした鬼で、鬼は痛ましそうに幼女を見ると抱き上げ




『かわいそうに、親に売られたんだね。でも大丈夫、俺が救ってあげよう』




と、ひどく勝手な解釈とともに幼女を拾った。別に捨てられてねぇしとは言わない。なんとなく本能が何もしゃべらずしょもッとしておけと囁くのだ。たぶんこいつやばいやつ。

今日も幼女の生存本能はとても優秀だった。



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