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館が燃えている、お館様のいた、あの場所が燃えている。私はその事実に背を向け、御息子たちの腕を引いて己の館の最奥へと脚を進める。この作戦を決行する数刻前にお館様から手紙を飛ばされた者たちが待つ場所。それがだれかなんてもうわかっている。
見えてきた人影に足を速め、あと一歩というところで
べべんと耳元で何かなるのを聞く。考えるより先に身体が動いた
「煉獄さんっ!宇髄っ!」
不敬とは百も承知で、腕の力を限界まで高めて三人の御子さんたちを投げた。同時にふすまのような何かが私の足元で開き、落下していく、そのさなかで私の館へと集まっていた甲の戦士や煉獄の姿も確認できた。御息子が何かを叫び、私の鴉がこちらへと飛ぶ。その首にぶら下がっているあれは、何かの文様だろうか。
そんなことを考えながらも私は、一緒に落ちていく隊士たちに柱として叫んだ
「全員っ!気を抜かないように!!」
パタン。
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